TESTPRESSING.ORG / "Dr.ROB" HARRIS Interview

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TESTPRESSING.ORG / "Dr.ROB" HARRIS Interview

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Test Pressing はメインストリームのダンスミュージックの正反対に位置するレコードファンにとって不可欠なポータルサイトです。 Test Pressing は、ロンドンに拠点を置くPaul Byrneと 軽井沢に住む"Dr. Rob" Harris により運営されています。

Test Pressing はいつどのようにはじまったのですか? 

Test Pressing は、「バレアリックビートから最高にクールなデザインまですべてのこと」をコンセプトに、2008年秋にPaul Byrne (アーティスト名Apiento) により創設されました。当初は雑誌 "The Face" や "ID" のように文化的な記事を集めることに重点を置き、Paul の膨大なリストからピックアップされた友人によるミックスを提供していました。今では書評、エキシビジョン、コンサート、リリースされた作品、美術やデザインに関するインタビューやフィーチャーまで多岐にわたっています。目と耳を捉えるものなら何でもです。 

PaulのバックグラウンドはA&Rで、彼は現在、International Feel レーベル、Soul WaxやToo Many DJ'sのDewaele兄弟がてがけるDeeweeレーベルの仕事もしています。

私の関わりは、私がPaul にTest Pressingに対する熱意を伝えた時から始まっています。彼は、私にこのサイトにミックスを提供しないかと言ってきました。私は勿論OKしました。ただし、音楽に加えて文章も提出できるようにという条件付きで。それ以来いくつかのレビューを書き、インタビューやフィーチャーも手掛けるようになりました。Paul と私は共にスペイン・イビサ島の歴史と"Balearic Beat"にこだわっていました。ここ数年間、私たちの「目的」は、「それらを音楽的に広げる」ことでした。少なくとも二人にとってはすべてのことがこの「こだわり」に結び付いていました。私たちはこの島の過去を記録し、保存しながら、あの特有の前向きな感情や精神をもたらす新しい物事を常に探しているのだと思います。何かの音楽を聞くと、私はいつも自問します。「Alfredo FioritoだったらAmnesiaで演奏しただろうか?Danny RamplingだったらShoomで演奏しただろうか?」と。

ウェブサイトと同様にPaul と私はラジオ番組も持っています。Paul は、NTS で毎月土曜の午後の時間帯をやっていて、音楽コミュニティーに多大な貢献をしています。一方、私は、FM軽井沢で「Remedy」という毎週土曜の夜の時間帯を担当しています。もう5年以上になります。これらの番組はすべて、Test PressingのウェブサイトとMixcloud 上にアーカイブされています。 

ーDJ HistoryはTest Pressingにとって重要な先駆者だったとおっしゃってましたね。DJ HistoryやTest Pressingのようなグローバル・オンラインコミュニティーは、「ヴァイナル(レコード) の復活」や小規模で専門的なレコード・レーベルの活況などの発展に対してどのような影響を与えたと思いますか?



DJ History が終わる予定だと発表された時、私は感謝の文を投稿しました。Test Pressing は、DJ Historyがなかったら存在しなかったでしょうし、多くの人々にとっっても、DJ Historyはダンスミュージックへの興味を後押ししたり、再熱させたりしました。 私の見解では、Bill Brewster & Frank Broughtonの本、「Last Night a DJ Saved My Life 」と、Dj Historyは人々を熱中させて行動に駆り立てました。例えば、DJをすることは言うまでもなく、パーティーを開催したり、ブログやウェブサイトを始めたり、音楽を作ったり、レコード店を開店したり、レコードのレーベルを経営したりなど。私はオンラインで繋がったほとんどすべての人と、直接会うことになったのですが、彼らは皆そういった行動を始めました。例えば、Emotional Rescue / ResponseのStuart、Red Light Records / Music From MemoryのJamie、Jus`Wax / ParkwayのMark Seven、 Claremont 56 / LengのPaul、Soft RocksのChris & Piers、Beauty & The BeatのCedric、International FeelのMark、 Golf ChannelのPhil、Cultures Of SoulのJeffなどたくさんいます。 私が会ってインタビューするレーベルの若い人々でさえ、このサイトのフォロワーだったと言っています。このことは非常に興味深く、テクノロジーを尊重するけれども四六時中ログオンした生活を望まない、保守的な私のような人間にとって、バーチャルなことが物理的なことに変換された様子は本当に励みになりました。

DJ Historyに関連しては、Steve Terryがオーガナイズした、本サイトからスピンオフしたアンオフィシャルなパーティーについてどうしても言及する必要があります。ロンドンのブリックレーンで開催された、土曜の午後または毎夕のセッションです。最初 はCafe 1001 で、その後は The Big Chill Barで開催されました。これらは現在起こっていることの重要なきっかけであったと私は確信しています。10年以上前の出来事になりますが、当時、家族を持って土曜の夜に外出はできないけれども、日中に立ち寄ってビールを飲むことはできる、私のような人間が多数いました。Phil Mison がレジデントだったと思います。 Steve は Balearic Mike, Traxというソーホーのレコード店のOscar、Gerry Rooney, Joel Martin,やMoonboots などをゲストとして招き、バレアリックスタイルやレアなレコードを見せびらかしていました。

これらがヴァイナル(レコード) 復活に貢献したかって? 勿論です。DJとお酒を飲むことでほとんどすべての人が自分のレーベルを持てるようになりました。300枚とか500枚の「特別注文」によってです。Conflikt Arts などの会社を使えば、これを行うことは比較的簡単です。この場合、自分の音楽と作品ファイルと現金で2000ポンドほどあればそれだけでいいんです。QRATESを使えば無料でつくることだってできてしまいます。

ーリビングレジェンドから新進気鋭の新人にいたるまで、多様なアーティストによる400以上の素晴らしいミックスアーカイブをお持ちですね。ベストはどのミックスですか? 



全部ですよ。本サイトは、これらのミックスによって構築されました。おそらく日々の訪問者のほとんどを呼び込んでいます。これらのミックスは、人々の知識と時間と努力という貴重なサポートに基いています。インタビューの対象であるアーティストがオープンであったり、圧倒的なサポートを受けられることにはいつも驚かされています。こうしたことがなければ、私たちは絶対存在していないでしょう。ミックスアーカイブについて気に入っていることは、有名、無名を問わず、多くのアーティストの大きな貢献によって、どんな気分にもマッチするミックスが見つかることです。 

ーあなた自身もTokyo-To Kissaという人気のミックス・シリーズをお持ちですよね。これはどのように生まれたのでしょうか? 

Tokyo-To Kissaは私にとってホームシックでした。深夜ひとりで飲んで、6000マイル離れた30年来の友人に音楽のラブレターを送っていたんです。 

2008、9年ごろに月に一回ずつまとめていました。Jose PadillaのクラシッなCafe Del Mar テープのいくつかが、オンラインでTest Pressing やDJ History 上に現れ、Balearic の新しい定義について私の耳を開かせてくれました。それまで私の中でのBalearicの定義は、Alfredo FioritoとAmnesiaのプレイリストに基づいていました。私はCafe Del Mar については、20年前そこにいてReactの編集をしたこと以外ほとんど無知でした。 Jose Padilla のテープの多くはECM ジャズ、映画のサウンドトラックと80年代の静かなポップスから構成されています。東京の中古レコード店で二束三文で手に入る類のものです。ですから毎週の日本語会話教室の帰りにCafe Del Mar Classicsの「欲しいものリスト」を持って、そうした中古レコード店に寄りました。そして毎月末に焼酎を1リットル飲みながら夜更かしして、手に入れたレコードから最良のものをつなぎ合わせました。

ー日本に拠点を置いてからもう数年になりますね。ダンスミュージックカルチャーとレア・オブスキュアレコードの世界において、日本の貢献は何だとお考えですか?  

日本では、何百という小さな隠れ家のような地下のバーがあって、驚くべきカスタムメイドの音響システムを備えていて、誇示しない知識と素晴らしい趣味を持った音楽に憑りつかれたクレイジーな人によって運営されています。DJが倒れるまで盛り上がりたい、同じ趣味を持ったマニアでいっぱいの小さな口コミによる場所です。レアなレコードについては、すべてここ日本にあります。欲しいけど見つからないレコードがあったら、日本に来ることです。ここに必ずあります。 

最初に日本に来たとき、中古レコードショップを目当てに街をまわる方法を覚えました。渋谷のレコファンのような所です。凄く多くの棚があって、ジャズ、ダンスのクラシックスが置かれています。やはり二束三文で。同様にディスクユニオンの地下はブラジル音楽の掘り出し物でいっぱいでした。そこの壁は私が存在することも知らなかった12インチで飾られています。高価で買うことは難しかったですが・・・。高円寺のEADでは、持っていた「Loft Classic」のブートを全部正規盤に変えることができました。日本は、EAD のヨーゾー、Organic Music / Ondas のChee and Dubby 、KZA & KentのForce Of Nature、DJ Noriのような世界的にリスペクトされるディガーやDJ、クニユキのようなプロデューサーの母国です。それぞれの分野における専門家です。

日本の音楽自体も私が日本にいる間だけを考えても、ポピュラリティーの点で著しく成長を遂げました。東京に住んでいた時、YMO関連のレコードを集めてロンドンのDJに売って小銭を儲けたことがあります。それらは安くてありふれていて、円高だった当時でも小銭儲けができました。このようなレコードは今では簡単に見つけられません。300円の箱もすっかり整理されました。The Mariahの"Utakata No Hibi"や Dip In The Poolの"On Retinae" のような作品は、それぞれPalto FlatsやMusic From Memoryにより再発されて、すぐに売り切れます。 The Mariah は、予約注文だけで2回のプレス分を売り切りました。みんな佐藤博の "Awakening"の再発の知らせを待っています。10年前には誰も知らなかったレコードです。

ーDiscogsでレコードに最もお金を使ったのは何ですか?

たしか、約 200 ユーロで買った Finis Africae のLPです。何十年も前にはオークションでBalearic Mikeが15ユーロで落札していたものでした。だから、痛かったのですが、私の中の悪者が、これは絶対必要なレコードだと考えるのです。「バッジ」というか標識というかお守り、あるいは「ヒミツの握手」ですね。

ー最もお気に入りのアルバムを3枚教えて下さい。

多分、最高のお気に入りというのは、一番長く所有していて、売ろうと思ったことのないものかもしれませんね。私の場合、それは、The Specials の最初の LP、 Prefab Sproutの "Steve McQueen"、 Aztec Cameraの "High Land, Hard Rain"、 The Smithsの "Hatful Of Hollow"、 Echo & The Bunnymenの "Ocean Rain"、これらは、私が月に1,2枚のLPしか買えなかった頃に購入したレコードです。始めから終わりまで、何度も繰り返しかけたレコードで、用もないのにかけて、歌詞は全部覚えてしまったぐらいです。今でも子どもたちの通学の車中でいつも一緒に歌って子どもたちを楽しませ、目を覚めさせる。そういうレコードです。私に自分自身のことを思い起こさせます。

ーあなたのなかで、現在最も優れたアーティストは誰だと思いますか? 

Jan Schulte は何時でもミスを犯さない。彼のMariam The Believer リワークは、2014年の"Balearic Beat"レコードでした。あと、ほとんどのMark Barrottの作品は凄いですよね。

ーTest Pressing は今後何を期待し、何を計画していますか?

いくつかのTシャツとキャラクター商品を作っています。Paul と私は共に、ここ3,4年間途切れ途切れですが、時間の許す限り書籍のプロジェクトに取り組んでいます。私はこの仕事が近い将来実を結ぶことを心から望んでいます。出版社としてのTest Pressing です。日本サイドで誰かが従事してくれると好都合なのですが・・・。日本に拠点を置いて、才能あるDJやミュージシャン、ビジュアルアーティスト、写真家やデザイナーと頻繁にコンタクトを取って、Test Pressing上で紹介していきたいと思っています。時間がないことと、私の語学スキルがないので、今までちゃんと実行に移せていませんでした。本サイトのために日本語のコンテンツを作成できるバイリンガルな人を見つけられたら素晴らしいなと思っていますよ。 

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