ALPHABET SOUP
MURO INTERVIEW
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ALPHABET SOUP
MURO INTERVIEW

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日本が世界に誇る"King of Diggin"ことMUROが、キャップのブランド〈ALPHABET SOUP〉を新たにスタート。
A~Zのアルファベットを一文字ずつキャップにレタリングし、そこにさまざまな思いと学ぶ楽しさを付加していく。今回発売となる第一弾は「A」から「D」の4つ。ひとつひとつの文字に込めたこだわりを聞いていこう。 さらに、最近のファッションや音楽活動について。すこしだけ距離を縮めさせてもらい、気になることをいろいろと質問してみた。
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A〜Zのレタリングが音楽の歴史を知るきっかけになってほしい


ーまず初めに伺いたいんですが、なぜいまキャップブランドを始めようと思われたんですか?

MURO:単純に被りたいと思える帽子がすくなくなってきたというのもあるんですが...。自分と同世代のパパから「また服を作らないんですか?」みたいな声を多くいただくことがあって。しかも去年はアパレルブランドからも同じようなお話があったりして、これは呼ばれてるのかな? と思ったんです。そこで、昔から服作りを一緒にやっている友人に相談したところ、トントン拍子に話が進んで、このブランドを始めることになりました。

ーMUROさんというと、キャップやニット帽のイメージがありますが、いつごろからお好きなんですか?

MURO:地元が埼玉の川口なんですけど、当時の川口って中学生は全員坊主だったんです。いまじゃ考えられないですよね。すごく厳しくて、坊主でも毛を指で挟んで、ちょっとでも出てるともうアウトで刈られちゃうんですよ。橋を渡った北区のやつらからは、「川ッパゲ」ってからかわれてて。「川口はみんなハゲてるからな〜」みたいな(笑)。そんな中学時代だったんで、最初は照れ隠しもあって帽子を被ってました。その後に、自分がたまたまのめり込んだ、ヒップホップやレゲエの世界では、帽子を被っているアーティストが多かったので、それで完全に目覚めましたね。

ーそんなエピソードがあったんですね(笑)。

MURO:高校に上がったころは、周りでヘビメタがすごい流行ってて、学校には髪を伸ばしてるやつらはたくさんいても、ヒップホップとか、あの帽子がかっこいいとか、そんな話をしてるやつは全然いなかったですね。そもそも帽子を被ってる人自体が、いまほど多くなかったんじゃないかな。部屋のなかでは帽子を脱ぎなさい! って時代でしたから。そのころから〈KANGOL(カンゴール)〉の存在はすごく大きかったですね。『クラッシュグルーブ』という映画のなかで、LL・クール・Jが〈FRED PERRY (フレッドペリー)〉のポロシャツに〈KANGOL〉の白と水色のパイル地のハットを2枚重ねで被ってるシーンがあって、それが強烈に印象に残ってるんです。当時は〈KANGOL〉なんてほとんど売ってなくて、並行モノですらなかなか手に入らない。かろうじてビームスで扱ってたくらいでした。まだメイドインUKのころですね。

ー確かに、MUROさんの昔の写真を見ると〈KANGOL〉率が高いような気がします。

MURO:そうですね。とにかくあのパイル地のハットが大好きだったんです。あまりに好きすぎて、いろんなパイル地のアイテムが気になってしまって。一時、デプトストアのオリジナルで、パイル地のアイテムをいっぱい作ってるときがあって、ダッフルコートまでラインナップされてて。これはどんな季節にどうやって着るんだろう? と思ってさすがに買わなかったですけどね(笑)。でも〈KANGOL〉のハットに限らず、キャップはもちろん、ベレー帽とか、いろんなタイプの帽子を被ってきました。 CC_FEATURE_ALPHABET_SOUP_02.jpg

ーなるほど。じゃあ帽子に対して一家言あるMUROさんが、満を持して作ったキャップブランドが、今回の〈ALPHABET SOUP〉というわけですね。このブランドは、アルファベットの文字をレタリングで表現していくと伺いました。その意図を教えてもらえますか?

MURO:子供が生まれて、何かを一緒にやるとか、教えてあげるとか、そういうことが日常になってきました。じゃあ、親子で学べるその"何か"をあれこれ考えたときに、アルファベットから探れる音の素晴らしさとか、その楽しさを、このブランドをきっかけに知ってもらえたらいいなと思いました。文字のレタリングは、思い入れのあるレーベル名やアーティスト名から拾っていくんですが、自分が普段からDJしているようなことを、このレタリングで表現していきたいなと思っています。

ーつまり「A」から「Z」の文字で、MUROさんが好きな音楽を表現するということですね。すごくおもしろいアイディアですね! 文字の元ネタとなるレーベルやアーティストの選び方にルールなどはあるんですか?

MURO:そうですね。これって選曲につながってるなと思うんです。なので、自分のなかの太鼓判というものをじっくり選んでいくのがいいかなと考えています。

ーそうなると選ぶのが大変そうなアルファベットもたくさんありそうですね(笑)。今回発売されるのは「A」から「D」の4つですが、それぞれの元ネタを教えてもらえますか? まずは「A」からお願いします。

MURO:「A」は「ATLANTIC RECORDS (アトランティックレコード)」というレーベルの「A」なんですが、この企画の制作途中にアトランティックに所属している、アレサ・フランクリンが亡くなってしまったんです。それもあって、スタートからいきなり思い入れができてしまったな〜という感じです。アレサの「A」でもありますしね。しかも僕はアレサと誕生日が同じなんですよ。

ーえ! そうなんですか? それはさらに感慨深いですね。

MURO:そうなんですよね。しかもアレサ絡みの話でもうひとつ思い出深いのが、2008年に化粧品の〈ヴィダルサスーン〉のCMの仕事で、安室奈美恵さんの曲を一曲やらせてもらったことがあって。 '70年代を意識した曲を作るという内容でサンプリングもしていいと。じゃあ'70年のアレサの『ロックステディ』でやりたいと希望を出したら、すぐに許可が下りたんですね。ちなみに'70年は僕の生まれ年でもあるんで、いろいろと思い入れがありました。その撮影ときのスタイリストが『セックス・アンド・ザ・シティ』の衣装も担当した、パトリシア・フィールドという、超有名な方だったんですけど、彼女に音がよかったから撮影がスムーズに上手くいったと言ってもらえたんです。それがすごく嬉しかったですね。

ーむむっ!? 安室ちゃんとのそんな曲があったなんて知りませんでした。これは要チェックですね。ということは、安室ちゃんの「A」でもありますね(笑)。最初からすごいお話ですが、続いて「B」をお願いします。

MURO:「B」は、JB(James Brown)の「B」です。JBは言わずもがなで、昔からいちばん好きなアーティストと言い切ってしまってるくらい。どんな現場、どんなシチュエーションのDJセットでも必ず一曲は選盤しちゃいますし、やっぱりJBとロイ・エアーズは僕のなかでは特別だなと思いますね。

ーじゃあ、この「B」は割とすんなり決まった感じですか?

MURO:まあそんな感じです。というか「B」はJBを使おうというのは、何ならブランドを始める前から決まってましたね(笑)。もうこれありきみたいなものです。

ーでは「C」お願いします!

MURO:これは知ってる人はすくないと思うんですよね。チョコレート・チョロリーズ(Chocolate Cholly's)というノースカロライナのローカルレーベルなんですが、ディスコラップとかブギーっぽい曲を多く出してて。個人的には、アトランタのファンクバンドで、ガストンっていうすごく好きなアーティストがいたので思い入れがあります。この黄色はすごく懐かしい色合いですよね。

ーこれはMUROさんのMIXシリーズの「Taste of Chocolate」にも使われてる黄色ですよね。

MURO:その黄色ですね。昔にディミトリ(ディミトリ・フロム・パリ)とCDを作ったときに、彼がこのレーベルの曲を入れてて、僕はその曲を知らなくて教えてもらったんです。彼にはこの黄色の帽子を送ってあげようと思ってます。彼のスタイル的に被るかどうかはわかんないですけど(笑)。

ーいやいや。MUROさんからのプレゼントだったら被ってくれるんじゃないですか? では「D」お願いします。

MURO:ジャズ・レーベルのCTIの傘下にあたる、「KUDU (クードゥ)」というレーベルの「D」です。ボブ・ジェームスやグローヴァー・ワシントン・ジュニアなんかの古いレコードを買い始めたきっかけがこのレーベルでした。昔は100円とかで買える安いレコードを2枚買ってきて、それでブレイクを練習したりしてましたね。

ーということは、若いころからこのレーベルのレコードを買われてたんですね。

MURO:そうですね。'90年代の頭くらいかな。当時、テレビ神奈川の番組で、『ファンキートマト』っていう生放送番組の収録を銀座のソニービルの8階で毎週月曜にやってたんです。で、同じ銀座の数寄屋橋にハンターっていう中古レコード屋があったんですね。テレビCMをやってるくらい大きな店で。いつもハンターでレコードを買ってから、その収録に行くっていうのが定番でした。そのころもクードゥのレコードを買ったりしてました。この『ファンキートマト』がなかなか大変で、ミュージックビデオの情報がまだあまりない時代に、さらに入手が難しいラップのビデオを紹介するコーナーで。高城剛さんがいて、チエコ・ビューティー、電気グルーヴが出てた番組でしたから(笑)。

ーそういうコアな番組があって、銀座にもレコード屋があった時代だったんですね。ちなみに、そのころって曲を探すための情報源は何だったんですか?

MURO:まったくなかったんですよ。それこそミュージックビデオを一時停止して、ジーッと凝視したり、洋書屋へ行ってわけもわからず見て覚えたり。でもまあクラッシュ(DJ Krush)から教わったことが決定的でしたね。それこそボブ・ジェームスから教えてもらって、これは買っておいた方がいいよとか、家に遊びに行ったときに眼でいろいろ盗んだりして...。僕らがそうやって音楽の歴史をちょっとずつ学んでいったみたいに、いまの若い世代がこのキャップのレタリングから、そういう歴史を知るきっかけになってくれたらいいなと思いますね。

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インスタグラムで海外を見ていると、これは何か始まりそうだなあって思います


ーご自身のファッションスタイルについて教えてもらえますか?

MURO:あんまり変わってないかもですね。昔もいまも基本はセットアップですし。そういえば、さっきの銀座の話のころは、クラッシュとかDJ GOの衣装を僕が服屋にリースにいったりしてスタイリングしてたんですよ。3人並んだときの色合わせとかを考えたりして。当時は服屋に行くのがすごく好きで、レコード屋に行く感覚に近いっていうか。しかもあのころは、ジャージがおもしろかったですね。東京堂、アウターリミッツ、デプト、デタント、このあたりの服屋のセレクトが勢いがあって。それぞれに個性的で人気があったんですけど、この4つを全部回ってるって人はなかなかいなかったんじゃないかな? そうそう、僕がオーガナイザーとしてこの4つのショップを集めてイベントをやったことがあるですよ。 それぞれのお客さんたちの交流にもなるだろうと思って。あのイベントは楽しかった思い出のひとつですね。

ーMUROさんのイメージでいうと〈adidas〉とか、機能性の高いスポーティなスタイルも多いような気がします。

MURO:やっぱり着ていてラクなものが多くなってきちゃいますよね。そうなってくるとスポーツブランドとか、機能性の高いアイテムがどうしても増えてしまいますね。

ー音楽とファッションの関係性については、どんな考えをお持ちですか?

MURO:ビジュアル面も込みですべての"入り口"でしたよね。特に80年代は、この音にはこの服って感じでスタイルが明確だったと思うんです。それがここ最近はまた復活してきてるような気がしているんです。僕はトラップとかはあまり聴かないんですが、新しいジャンルができてそれが浸透して、一方で昔ながらのサンプリングのヒップホップを聴いてる人、作っている人はまだたくさんいて、そういう新譜もまだまだ出てくる。インスタグラムなどを通して海外の人たちを見ていると、好きなことを好きな人たち同士がやっていて、あちこちのいろんなジャンルから、新しい何かが生まれそうな空気感とか、勢いが感じられるんです。これは何か始まりそうだなあって思いますよね。

ーなるほどですね。ちなみに、今回の〈ALPHABET SOUP〉の取扱店として、いま名前が上がっている、COVERCHORD / vendor、BEAMS、A-1 CLOTHINGは、どのようにして選ばれたんですか?

MURO:純粋に好きなお店で、商品を置いてもらいたいお店ですよね。独自の視点でのセレクトをしているCOVERCHORD / vendor、幅広い層のBEAMS、A-1 CLOTHINGの真柄くんとはずいぶんと長い付き合いですし、世代が近いこともあって何か一緒にやりたなとはずっと思っていました。

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下北沢のJETSETが家から近いんで毎日試聴してます


ー音楽活動についてもすこし伺いたいんですが。ここ数年は以前よりも積極的にDJをされてるなあという印象があって。例えばアパレルブランドのパーティなんかでもやられてますよね? そういうのって何か心境の変化とかがあったんでしょうか?

MURO:実はツイッターを始めたころからオファーが増え始めたと言うか、ツイッター・アカウントの @MURO は既に使用されていて、当時のマネージャーが"DJ"を付けて @DJMURO でスタートしたんです。そしたら日本国内はもちろん、世界からオファーをいただくことも多くなって、いまに至る的なところもあります(笑)。

ーえ? ツイッターアカウントを開設したら、そこに直接DJのオファーが来るようになったということですか?

ーということは...つまりMUROさんにDJをお願いしたいと思っていた人はたくさんいたんだけど、どこにオファーを入れてよいかわからなかったと。それがツイッターのおかげで、つながれたと。そういうことで合ってますか?

MURO:そういうことになりますね(笑)。でもまあ、動けるうちはどんどんプレイしたいって気持ちはあるので、本当にありがたい話ですよね。いまはフェスのような気持ちいいシチュエーションの現場がとても楽しいです。あとはソウルバーみたいなところをツアーで回るのもおもしろそうだなって思ったり。

ー現場でモチベーションになってることって何かありますか?

MURO:うーん。そうですねえ。選曲とか選盤すること自体は好きなんで、イベントの主旨とか場所のことを考えながら、その空間をトータルでプロデュースするようにプレイできたらいいなあと思いますね。江ノ島にオッパーラっていう海がきれいに見えるレストランがあって、今年のお正月にそこでやったんですけど、あの場所はよかったですね。

ーDJハーヴィーとかDJスピナもオッパーラでプレイしたと聞きました。そんなにいいところなんですね。ところで、個人的に気になってることを聞いてしまうんですが...。最近はどのあたりを聴かれてるんですか?

MURO:けっこう新譜を聴いてますね。下北沢のJETSETが家から近いんで毎日行って試聴してます。いまは本当にたくさん新譜が出てて、リイシュー盤とか、エディット盤とかがとにかくすごい量出てるんですよ。これっていわゆるデータでDJをする人たちが使っていた音源だったんですが、そういうのがようやく最近アナログ化してきたんですね。だからあのリリース量だと思うんですけど、そのなかにもいいのがあったりするからとにかく聴かないと、なんですよ。だって知らないのがあると悔しいじゃないですか(笑)。

ーDJ NORIさんとやってる「キャプテン・ヴァイナル」についても伺いたくて。あれはバック・トゥ・バックのスタイルですが、事前に打ち合わせとかあるんですか?

MURO:「キャプテン・ヴァイナル」は割とNORIさんから投げられた球を打ち返すような、そんなスタイルですね。事前の打ち合わせは...ないですね。なんにもない(笑)。前回はNORIさんからだったんで、今回は僕が先行きましょうか? とか、そのくらいですね。

ーそうなんですか!? それであのグルーヴ感はさすがですね。

MURO:あ、でも先日アパレルブランドのパーティのときに、初めてNORIさんから事前にメールがきて「どんな感じ?」と。さすがにNORIさんもその日はちょっと考えたんでしょうね。それで一応こんな感じで行きたいです、みたいな返信をしたんですけど。そしたら、めちゃくちゃうまくいきましたね(笑)。やっぱり連絡取り合った方がいいなって。7年くらい一緒にやっていまさら気が付いたというエピソードです(笑)。

ー長々とお話を聞いてしまいましたが、そろそろまとめたいと思います。今回は「A」から「D」の4つがリリースされるわけですが、この先「E」からの展開はどうなっていくんでしょうか?

MURO:「E」から「H」は、この夏くらいには皆さんにお披露目できるかなと思っています。でもまだまだこれから詰めていく感じ。考え中ですね。うーん。例えば「E」は、エレクトラレコード(Elektra Records)の小さい「E」が、ただ付いてるだけとか? あの「E」はなかなか印象的ですよね。

ーコアなMUROさんファンからすると、次に何がくるんだろう? って予想するのも楽しいですね。

MURO:そういうのは嬉しいですね。もしかしたら、エリック・サーモンの「E」かもしれないですよ(笑)。

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MURO
日本が世界に誇るKing Of Diggin'ことMURO。「世界一のDigger」としてプロ デュース/DJでの活動の幅をアンダーグラウンドからメジャーまで、そしてワールドワイドに広げていく。現在もレーベルオフィシャルMIXを数多くリリースし、国内外において絶大な支持を得ている。新規レーベル"TOKYO RECORDS"のプロデューサーにも名を連ね、カバーアルバム【和音】をリリースするなど、多岐に渡るフィールドで最もその動向が注目されているアーティストである。




Photograph_Keita Suzuki
Interview_Masaki Hirano (Girl Houyhnhnm)
Translation_ Yuko Caroline Omura



ALPHABET SOUP "A B C D"


今回の発売に先がけて撮り下ろした、〈ALPHABET SOUP〉TYPE A B C Dのイメージビジュアルをこちらで公開。

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TYPE A
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TYPE B
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TYPE C
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TYPE D



ALPHABET SOUP

TYPE A
Price_¥6,800
Color_BLACK, NAVY, RED

TYPE B
Price_¥6,800
Color_NAVY, OLIVE, LT.DENIM

TYPE C
Price_¥6,800
Color_KHAKI, RED, YELLOW

TYPE D
Price_¥6,800
Color_BLACK, OLIVE, YELLOW