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カバーコードの逸品

長く愛せる一生ものの「逸品」をご紹介。

瀧本徳郎
急須

なんと形容すべきでしょうか...この愛らしさ。肌理(きり)は整った梨地をしていて、肌色は黒壇とも黒鉄とも表せるような深い黒褐色。愛想を振りまくような佇まいではないのに、奥ゆかしく発する愛嬌がある。

私は〈瀧本徳郎〉の作家性は”ユーモア”だと感じています。一見すると和食器特有の”もの静かさ”を尊重しているようでいて、しばらくすると突然”クスリ”と笑顔がこぼれるような、優しく和やかなムードとしての”ユーモア”を感じるのです。

この急須の場合、本体のフォルムはキレイな球状。底面と天蓋だけ切り断ったようにまんまる。そりゃ急須は丸いものですけどそれにしたって球い。この潰れのない真球っぷりこそ、先に述べた愛嬌の所以。そこに取り付けられた取手がまた球くて可愛い。一方で、テーパーしていない注ぎ口はデザインに緩急を生み出しています。造形の至る部分には意味があって、無駄がありません。

日本の食卓には急須と茶筒と湯呑みがつきもの。あえてそう言い切るのは、失われたこの風景を守りたい願望も込めさせていただきたいと思ってから。こんなモダンでユーモア溢れる急須なら尚更、卓上に出しっぱなしにしたいところです。

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