vendor x Melody As Truth
Suzanne Kraft Interview
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COVERCHORD CULTURE

vendor x Melody As Truth
Suzanne Kraft Interview

東京のセレクトショップ「vendor」と、アムステルダムを拠点とするレコードレーベル「Melody As Truth」がコラボレーションTシャツをリリース。
2016年、「Melody As Truth」の創設者 Jonny Nash が、「vendor」において、スペシャルで親密なインストアライブを行ったコラボレーションから5年の月日が流れた。
二度目となる今回のコラボレーションは、「Melody As Truth」所属のアーティスト Suzanne Kraft 待望のニューアルバム『About You』の限定版リリースに合わせて、「vendor」からは限定Tシャツが同時に発売される。

COVERCHORD では本コラボレーションアイテム発売にあわせて、Suzanne Kraft こと Diego Herrera に、LAの自宅にてインタビューを敢行。
ニューアルバムのこと、アムステルダムで過ごした5年間のこと、そして「Melody As Truth」と「vendor」のコラボレーションについて聞いた。
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Melody As Truth カタログ
Jonny NashやSuzanne Kraftの
ソロおよびコラボレーション・リリース


Melody As Truth


「Melody As Truth」は、2014年にJonny Nashが自身の作品をリリースするためのプラットフォームとして立ち上げたレコードレーベル。
1980年代のアンビエントやニューエイジ・ミュージックの要素を取り入れた初期の2枚のリリース「Phantom Actors」(2014年)と、「Exit Strategies」(2015年)は、このレーベル特有の霞みがかった、ふわっと漂うようなサウンドの原型となった。
「Melody As Truth」のレコードは、メランコリックと楽観的なサウンズの間を頻繁に行き来しながら、和やかかつ穏やかでゆったりとした寛大なサウンドを体現している。

Nashは、レーベルの第3弾リリースとして、LA出身のSuzanne Kraft(本名:Diego Herrera)と共に、初めてのフルアルバム『Talk from Home』をリリース。それは、広く称賛され、数多くの「2015年ベストアルバム」リストに載った。
また、HerreraはNashとスタジオを共有するためにアムステルダムに拠点を移し、実り多いコラボレーションのきっかけともなった。
その結果、ソロ作品と2人のコラボレーション作品は多作な時期を迎え、「Melody As Truth」はモダン・アンビエント・ミュージックの先駆けとして注目されるようになった。



Suzanne Kraft - Flatiron (Talk From Home - 2015)


Suzanne Kraft


LA出身のSuzanne Kraft(本名:Diego Herrera)は、高校卒業後すぐにLAのオンラインラジオ局「Dublab」で働き始めた。
2011年には、Gerd Jansenのレーベル「Running Back」から、一定のリズムを刻むエンジン音のスローモーション・ディスコサウンドの4トラックEPを初リリース。
その後、「Young Adults」や「Noise in My Head」といったレーベルからのリリースを経て、よりミニマルでニューエイジ志向のサウンドにシフトし、「Melody As Truth」からのリリースが相次いで好評を博した。

Herreraは静かで哀愁の漂うレコードを創ることだけに満足せず、人々をダンスに駆り立て、Dude Energyのアーティスト名義で2015年最大のクラブヒット曲となった「Renee Running」をプロデュース。
2019年の「Shopbeat」は、SK U Knoという別名で、重厚なベースとシンコペーションの効いた攻めのドラムのリズムで、Herreraの醸し出す音域に新たな一面を加えた。

Herreraのディスコグラフィはすでに多様性に富んでいるが、「Melody As Truth」からの最新アルバム『About You』は、アーティストにとっても、レーベルにとっても、インディー・ポップのファジーな領域に入る、まったく新しい方向性を示している。漠然としたシンセサイザーの和音やミニマルなアプローチはなくなり、代わりにシューゲイザーギターと、キレのあるドラムに加え、Herrera自身のヴォーカルが最も影響を与えている。

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Suzanne Kraft (スーザン・クラフト)こと
Diego Herrera (ディエゴ・ヘレラ)


Suzanne Kraft
Interview

新アルバム 『About You』について


ーこれまでのディスコグラフィはスタイルが多様ですが、『About You』はまったく新しい方向性を示しています。ポップ・レコードを創るインスピレーションは何でしたか?

長い間やりたいと思っていたことでした。あまりいい答えにはならないと思いますが、ようやくそれが実現したという感じです。
Jonnyと初めて会って、音楽の話をした時、インディー・ポップの話で意気投合することが結構多かったんです。でも二人とも、作詞をやったことがなかったり、そのようなことをする勇気がなかったりして、お互いずっとそこに何かフラストレーションを感じていました。
あとは、僕が恋人と別れたり、また新しい出会があったりして、人生の大きな変化をいくつか経験して、それが結構作詞のアイディアを与えてくれました。メロディーを作曲することに僕は難しさを感じたことはないけど、そこに作詞のためのテーマが思い浮かばないことがありました。
色々なことを経験して、それが人生のインスピレーションっていうのか分からないけど、何ていうか、今は何か歌えるような気がする。


ー便宜的に「ポップレコード 」と言いましたが、10曲の中に現れるサウンズはかなり多様です。このレコードに影響を与えた背景にあるものは?

最初に思い浮かぶのは、Burt BacharachとElvis Costelloです。このアルバムを創るまでの何ヶ月間は、彼らのアルバムをずっと聴いていましたから。
それから、Blue NileやPrefab Sproutなど、昔から影響を受けているものや、Teenage Fanclubのような最近のものも、つまり1980年代と1990年代のUKポップスですね。
あと、シューゲイザーもよく聴いていましたが、最近は長い間聴いていないですね。10代の頃に影響を受けた音楽がずっと残っていて、それを今になってようやく引っ張り出してきたという感覚ですね。



Suzanne Kraft
COVERCHORD Spotify Playlist
「新アルバム『About You』に影響を与えた音楽」をテーマにセレクト


ー誰もが予想だにしないものを発表して、人々をびっくりさせたいという想いはありましたか?

特にアムステルダムに住んでいたときは、ライブミュージックのシーンが限られていたので、一部それに対する反動もあったと思います。僕は、そこに居合わせた人が突発的に音を作り出したり、意外な会場で行われる小さなライブを見に行ったりして、ライブ音楽と共に育ったんです。
アムステルダムでは、そのようなことはほとんどありません。ほとんどがクラブですからね。すごくDJ中心です。だから、5年ほど経った頃には、もういいかなと思うようになりました。
そして、無意識のうちに「もう全部飽きてしまったし......そうだ、じゃあ、これをやろう」と思ったんです。

ーこのレコードで目立つのがあなたのボーカルです。「PITCHFORK」の最近のレビューでは、「驚くほど有能なボーカリスト」だと書かれていて、ちょっと失礼だなと思ったのですが、おそらくこれまでのレコードのほとんどがインストルメンタルだったからでしょうか。これまでも歌っていましたか?

僕はアートに力を入れているオルタナティブな学校に通っていました。そこでは毎年少なくとも一コマは音楽のクラスを選択することになっていて、そこでは皆、よく歌っていました。
「驚くほど有能」と言われても別に気にはなりませんでした。実際それほど有能じゃないので。納得できるものができるまで何度もトライしました。ライブで歌わないといけない日が来たらちょっとビビりますね(笑)。
でも、皆もしていることだと思うけど、前からよく一人では歌っています。頭の中に浮かんでくるメロディーをね。




Suzanne Kraft - On Our Hands (About You - 2021)


何故、アムステルダムの地なのか


ー5年近くアムステルダムで過ごした後、最近LAへ戻られましたね。なぜ、アムステルダムだったんですか?そしてその5年間、アムステルダムはどのような影響を音楽活動に与えましたか?

アムステルダムに引っ越すまでの数年間、自分の故郷を離れたいと前々から思っていました。でも、アメリカには他に住みたい場所が、少なくとも僕が知っている限りでは無かった。
当時は、「ヨーロッパの方がいい」というちょっと単純な考えも持っていました。というのも、年に一度はツアーに参加していて、ミュージシャンやDJへの出演料などの面で、ヨーロッパの方がとても評価されていると知ったからです。それならLAよりもヨーロッパの方が、音楽で生活できるかもしれないと思ったんです。
アムステルダムに決めたのは、自分が一番よく知っているところだったからです。ブリュッセルや、ドイツのケルンも考えたけど、ツアーで一度アムステルダムに行ったときに、ここだと思いました。すでに友達のグループができていたし、よく考えずに即決しました。幸運にも十分なライブ演奏の機会があったので、これまでやってこれました。

ーアムステルダムの町はあなたの方向性やサウンドに影響を与えましたか?

仲が良くて気の合う人たちが皆そこにいたという環境に、結構影響を受けましたね。
4年近くJonnyと共有したスタジオは「Red Light Radio」が管理しているビルの中にあったので、「Red Light Records」のすぐ隣にありました。だからそこは音楽を愛する仲間同士が集うソーシャル・ハブ的な役割がありました。それは僕のクリエーティビティーにとって、刺激的だったというか、ある種一つのエネルギー源でした。

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何と名乗るか


ーいくつかのアーティスト名義でレコードをリリースしていますね。それぞれの名義でどういった曲をリリースするかという、明確な方針みたいなものはありますか?

例をあげると、「Dude Energy」は一回、Lewie (Lewie DayことTornado Wallace)とふざけて思いついただけだったんです。当時、彼はまだオーストラリアに住んでいて、僕は彼らのレーベルの「Animals Dancing」で曲を出そうとしていました。それで「お前たちにとって全てはジョークなんだから、曲名もジョークにしょう」と思ったんです。それで「Dude Energy」という曲名が生まれました。
でも、一般的には明確な線引きや方針はないですね。曲を創って、レコードにする段階になった時に曲名とアーティスト名を決めます。音楽を創る時に違うペルソナになって、それに合わせてアーティスト名も考えるのか?ということなら、そうではないですね。すべてはただ僕、Diegoです。


Jonny Nashとの関係性


ーJonny Nashとのパートナーシップは、これまでの音楽活動の中心となっているようです。アムステルダム時代にはスタジオを共有し、いくつかの作品でコラボレーションし、ソロ作品のほとんどは「Melody As Truth」からリリースされています。これからは、お互い大西洋の反対側にいても、Jonnyとのその関係は続いていきますか?

そうですね、続くだろうと思っています。
でもおもしろいのが、これまでずっと活動を共にしてきて、スタジオも共有して分かったのが、スタジオにいない時が二人組としての生産性が一番高いんです。
最初に一緒に創ったレコードは彼の両親の家で創りました。僕がイギリスへ飛んで、計画もなしに4、5日ぐらいでレコードを創りました。限定された期間と空間だったから、そういう制限があったからこそ実現しました。
もっと最近でいうと、「A Heart So White」も数日間しか使えなかったレンタルスペースで創りました。だからコロナの規制が緩和されたら、彼が1、2週間こっちに来たり、僕があっちに行ったりして、また一緒に何か創作できるといいなと思っています。
でもそうですね、スタジオがあって、アイディアを共有したりジャムしたりできる共有スペースがあったのはここ数年の活動においてとても重要でした。一緒に音楽を創っている時、お互いのことを理解しているし、同じ表現手段を共有できている。
だから、そこで実際に創った音楽の数は少ないかもしれないけど、一番多くのアイディアが生まれた場所です。


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Suzanne Kraft と Jonny Nashのアムステルダムスタジオ


vendorとのコラボレーション


ー「vendor」とのコラボレーションはどのように実現しましたか?

ファッション関係の仕事とか、これまでに日本で過ごした時間を通して、Jonnyは「vendor」の皆さんのことは前々から知っていました。
「Land of Light」として行った日本での初ライブを応援してくれたし、2016年に「Melody As Truth」として初めて一緒にツアーした時はインストアライブをやって、その後のパーティーでPowderと5iveと一緒にDJをしました。
アルバムが完成しようとしていた時、何か特別なことをしたいと思って、誰かとコラボレーションをするなら「vendor」に勝る相手はいないと考えたんです。いつもいいものを創っているし、Tシャツはめっちゃかっこいい。僕もゲットするのが楽しみです。

ー最後の質問です。今後の方向性は?

バンドを組むことです。それが最初の目標です。まずはLAのみんなに僕が戻ってきたことを知らせて、誰が興味あるか探ります。ライブでやりたいと思っている曲があるから。
あとは、今は隣の部屋で自分のスタジオを造っています。今日は一日そのペンキ塗りをしていました。だから次のステップは再出発ですかね。


Suzanne Kraft スーザン・クラフト
ロサンゼルス出身のSuzanne Kraftことプロデューサー/DJのDiego Herreraは、先駆的なオンラインラジオ局Dublabでキャリアをスタートさせた。2010年代初頭には、ソロアーティストとして、またグループPharaohsやBlaséのメンバーとして、Running Back、ESP Institute、Noise In My Headなどのレコードレーベルからレコードをリリースし始める。2015年にアムステルダムに拠点を移してからは、スコットランド出身のプロデューサーでレコードレーベル「Melody As Truth」の創設者であるJonny Nashと組み、次々とリリースEPやアルバム高い評価を得る。2021年、インディーポップアルバム「About You」をリリース。

Text_Samuel Fitzgerald
Translation_Yuko Caroline Omura


Suzanne Kraft
ABOUT YOU ( Limited Edition Green Vinyl )


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Suzanne Kraft
ABOUT YOU ( Limited Edition Green Vinyl )
Price_¥3,850



vendor Things × Melody As Truth
"About you" TEE


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vendor Things × Melody As Truth
"About you" TEE
Price_¥6,600
Color_WHITE, BLACK, NAVY, BEIGE