工藤真人工房を訪ねて
MAHITO KUDO'S POTTERY STUDIO
CC_FEATURE_MAHITOKUDO_POTTER_00_top.jpg

COVERCHORD CULTURE

工藤真人工房を訪ねて
MAHITO KUDO'S POTTERY STUDIO

茨城県阿字ヶ浦町に拠点を置きながら、日々日常の生活に寄り添う陶器を作り続ける〈工藤真人工房〉。
30年以上のキャリアを持つも、誰よりも楽しみながら作陶する陶芸家・工藤真人氏の姿に迫る。
「どんな人の手で作られた物だろう?」本当に良いプロダクトに出逢うとそう考える。
〈工藤真人工房〉のうつわを、初めて我が家へ迎え入れた時にも同じことを思った。

無駄のないシンプルなデザインながら、食器棚の中での凛とした佇まい、物としての美しさ。
食卓に並べ実際に食べものをよそった時の、どんな料理にも寄り添う普遍性。

多くの人びとを魅了し、食を取り巻く生活を豊かにする〈工藤真人工房〉の物作りの背景、そして陶芸家・工藤真人という1人の人間を知るべく、COVERCHORDは茨城県阿字ヶ浦の工房を訪ねた。

CC_FEATURE_MAHITOKUDO_POTTER_01.jpg
都内からクルマで走ること約2時間。まるで南国に迷い込んだかのような気候と草木の生命力。そして眼前に広がる海の青。
工藤真人氏がここ阿字ヶ浦町に自宅兼アトリエを構えたのは1987年のこと。この地に根ざし、奥様と二人三脚。30年以上にわたり作品を作り続けてきた。

私たちCOVERCHORDと〈工藤真人工房〉のうつわとの出逢いは、松本市で開催されたクラフトフェアだった。多くの陶器と作家が居並ぶ中、「豪傑」という言葉を体現したような力強い生命力とエネルギーに満ちた工藤真人氏が作るうつわはひときわ目を引いた。

工藤真人氏は東京都赤坂に生まれ、新宿歌舞伎町で育ったというなかなかのシティボーイ。生け花の評論家であり調度品集めが趣味の父と、帝国ホテル内にあった古美術商「繭山龍泉堂」で働く母の元に生まれた工藤氏。現在の作品のインスピレーション源となる北欧クラフトや、古美術作品の数々は、幼き頃より当たり前に身近にあり、慣れ親しんだものだった。

青年になった氏は、都会の喧噪と、東京の得体の知れない居心地の悪さに鬱々とした時期を過ごしていたという。大学に進学するも中退し、知り合いの伝手を辿り愛知県常滑市に陶芸の修行に出た。陶芸家としてのキャリアの礎をここで培った。

02_A.jpg
02_B.jpg
02_C.jpg
アトリエ2階の自宅からは阿字ヶ浦海岸が望める。
03_A.jpg
03_B.jpg





修行を経て20代半ばに差しかかり、工藤氏は1年間に渡り世界を旅したという。イタリア、ギリシャ、トルコ、スペイン、イラン、パキスタン、インドを巡り、その旅の経験から多くの実りを得た。

もちろん、各国で陶芸家や、様々な作風との出会いがあったが、国ごとの文化を背景とした「癖」に触れたのが大きかったという。

「真面目すぎる日本人とは違ってみんなテキトーでさ。日本では当たり前とされていた『自分が嫌だな、窮屈だなって思っていた部分』が世界では普通じゃなかった。それを知れただけで幾分心が楽になってさ」

その体験から工藤氏は拠点を阿字ヶ浦に据え、自分の作品作りに没頭していった。

CC_FEATURE_MAHITOKUDO_POTTER_04_A.jpg
04_B.jpg
生活に寄り添うよりシンプルなうつわ作りには、
素材となる土選びが肝となる。
コバルト釉には、赤土ベースが好相性。

05_A.jpg
05_B.jpg
06_A.jpg
06_B.jpg
何年経っても、「水挽き」という工程が
楽しくて仕方がないという工藤氏。
「いいとこ見せたいから、まずはデモンストレーションね」
と笑うが、一度轆轤(ろくろ)が回り始めると
自分の世界に没頭していった。


「女房に勧められて始めたんだけど、これがやってみると面白くてさあ。どうすればより良くなるのか研究する時間が楽しくて」

工藤氏の作陶への考え方は年を重ねるごとに変化していった。
現在の作風とは違い50代までは「自分の作品の個性をいかにして世に知らしめるか」にエネルギーを傾けていたという。

年を経るごとに次第に肩の力が抜け、「用の美」の面白さに傾倒していった。今、轆轤を廻す時に頭に浮かぶのは「自分のうつわを使う人の生活」だという工藤氏。暮らしを思い描きながら、プレートからマグカップ、花器に至るまであらゆるジャンルの陶器作りに果敢に挑戦している。

「料理と一緒でさ、若い頃は見向きもしなかったものを美味しく食べようと考えるんだね」

人びとの生活に寄り添うシンプルで実用的な作品を作ろうとすると、素材の土選びから成型まで、より高く均一なクオリティが求められる。作陶30年以上というキャリアの上にも決して胡座をかかず、考え試行錯誤をする時間を心の底から楽しんでいた。

「成り行きだよ。あとは始めた時代が良かったかな。長い間続けられている、こんなにも没頭できることを見つけられた。自分は幸せだなって思うよ」
陶芸家を志したきっかけを尋ねると工藤氏は微笑みながらそう答えた。

07_A.jpg
07_B.jpg
08_A.jpg
08_B.jpg
08_C.jpg


工房を一歩出たところには、作品に彩りを与える
様々な釉薬が保管されている。
「真人ブルー」こと深いコバルトブルー釉薬は、
の工藤氏自信の調合。


09_A.jpg
09_B.jpg


何かを買うきっかけとして「物としての美しさ」は一つの指標として重要な要素だと思う。けれど、「物を取り巻く生活にどれだけ愛着を持てるか」は、また別の価値観だ。

今回〈工藤真人工房〉を訪ね、作品に込められた「好き」や「情熱」といった作り手の想いを知ることの大切さを知った。

今も熱意を持って真摯に、作陶と向き合う工藤氏に、これからの展望を訪ねた。
「これからも作り続けるよ。作家性じゃないけれど、今の引き算の作風に自分の色を足した時にどう作用するのか楽しみ」

工藤氏がこれから先、心から信頼を寄せる夫人志づかさんと支え合いながら、どんな「生活の愉しさ」を私たちに届けてくれるのか、一ファンとして楽しみで仕方がない。

10_A.jpg
"keep making"
10_B.jpg
愛猫のみゃあたろう





11.jpg


工藤真人工房のうつわを使った
おうちの食卓サンプル


クローゼットの前に立ち、今日着たい服を考える時のように、うつわを手にし「さて、何を盛り付けたものか」と悩む時間も愛おしい。食器は用の美。食べ物が盛られてこそ湧くイメージもあるのでは?
東京蔵前にスタジオを構える〈SHUNNO KITCHEN〉主宰の料理家・二部桜子さんと共に、〈工藤真人工房〉のお皿を彩る「旬」の夏味をご提案します。



パールホワイトには
「グラノーラ&ベリー」
12_A.jpg
12_B.jpg
艶のある表面感&ニュートラルな色合いの縁取りが特徴的なパールホワイトシリーズの深皿には同じくニュートラルな色合いのグラノーラを合わせました。
ヨーグルトの上に様々なベリーと一緒にトッピングして。


コバルトブルーには
「平飼い卵のタルティーヌ」
13_A.jpg
13_B.jpg
深海の様な深い深い青いコバルトブルーシリーズの平皿には平飼い卵のタルティーヌ。
カリッと焼いたカンパーニュにシーザードレッシング、ケール、アボカド&目玉焼きを乗せたら、週末のブランチが完成です。


ブルーラインには
「サーモンサラダとガスパチョ」
14_A.jpg
14_B.jpg
ブルーとブラウンのストライプが鮮やかなブルーラインシリーズの平皿には夏野菜とサーモンのサラダをもりもり乗せて。
ボウルには冷たく冷やしたガスパチョをどうぞ!


ブラウンラインには
「オーガニックフムス」


15_A.jpg
15_B.jpg
土と釉薬の組み合わせがパワフルなブラウンラインシリーズの深皿にはオーガニックフムスを。
フムスには夏野菜をトッピングして、ピタパンとラディッシュにたっぷりつけてお召し上がりください。


Food Styling_SHUNNO KITCHEN
instagram @shunnokitchen