今週の逸品

セレクトしたアイテムの中から長く愛せる「逸品」をご紹介。

THEのはさみ

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当たり前に存在するスタンダードなアイテムの価値を底上げするプロダクトブランド〈THE〉が手掛けた、その名も「THE SCISSORS」。

この美しい筐体に目を奪われずにはいられませんね。ジュエリーの如く磨き上げられたハンドルのカーブが輝きを一層際立たせていて、なにやら厳かなムードとともに圧倒的な”いいもの感”を放ちます。日本の優れた金属加工技術ここにあり、といった感じです。

さらに、ハサミの命である”刃”についてはもっと凄い。一般的な切削研磨による刃付けではなく、鍛造と呼ばれる金属を叩いて刃付けをする製法でつくられています。日本刀と同じ製法である鍛造の刃物製品は、職人の名を関した刃物製品やプロユースのハサミ、例えば剪定鋏やヘアカット用シザーなどにこそ見られますが、市販の一般用ハサミでは本当に稀です。

一方、優れた技術を惜しみなく注いで形作られたデザインは実にシンプルでスタンダードそのもの。日本でハサミといえば左右対称のイメージですが、伝統的な西洋の”SCISSORS”は左右非対称。
握り心地や細かな取り回しの良さに優れる事実は、服飾の世界で用いられる”裁ち鋏”が伝統的な非対称の形状を維持していることからもよくわかります。

なお、この「THE SCISSORS」は桐製の専用ケースに入った堂々たるパッケージング。古来より刃物は悪いものを断ち切る存在として見られてきたそうですので、新しい年を迎える贈り物にも喜ばれるんじゃないでしょうか。

2022-01-05

THE NORTH FACEのウィーラーバッグ

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先日帰省した際の話。2泊3日の旅程は大掛かりな着替えも不要とあって、30リッター程度のザックに荷を詰めて家を出ました。使い慣れたザックならと安心していましたが、山では快適なザックがいざ普段着での旅先となると、どうにも勝手が悪い。コートの形は崩れるし、背負ったり降ろしたりの細かな繰り返しが細かなストレスになってきて、旅先での楽しい気持ちに水を差す場面も。

家路に着いた私は思いました。”キャリーバッグ欲しい. . .”。

道中でそんな不満を感じるたびに頭に浮かんだひとつのバッグがあります。それがこの〈THE NORTH FACE〉の手掛けるウィーラーバッグ、「ROLLING THUNDER」です。仕事柄スーツも着なければ頻繁な出張もない私の場合、一般的なハードケースのキャリーバッグやトランクはちょっと大仰なんですが、趣味の山道具で慣れ親しんだ〈THE NORTH FACE〉が手掛けるこれはとても魅力的でした。

ボディ素材のTPEラミネートポリエステルファブリックは耐久性と防水性が一目してわかるほど安心感のある素材。ソフトケースはパッキングに工夫が必要なイメージですが、背面の成形モールドパネルのお陰で考えなくボンボンと荷物を詰め込んでも形を保ってくれて、実にスムーズに荷造りが済ませられます。荷物が少ない時はかさばりが抑えられるのもソフトケースのメリットです。
アウトドアザックで培ったノウハウをふんだんに取り入れ、外装に細かく配置されたポケットに頻繁に取り出すものを入れておける。お陰でサブバッグも背負わずに身体ひとつコレひとつで旅が成立してしまいます。

実は、機能面云々の前に真っ先に自分の食指を刺激したの、なによりそのデザインでした。全てがブラックアウトされた端正なルックスに、ウィールとハンドル端ボタンのみに使われたレッドのコントラスト。年末の帰省のお供にぜひお勧めしたい逸品です。

2021-12-29

NOWHAWのパジャマ

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大人になってからちゃんとパジャマを着て寝た記憶がありません。元来、寝るときにあまり着たくない派でしたし、パジャマと聞いて思い浮かべるのは「志村けんのだいじょうぶだぁ」の石野真子との夫婦コント程度の人間です。

そんな私ですがパジャマを欲しています。パジャマを着る生活に憧れています。

それもこれも理由は一つ。〈NOWHAW〉の冬のパジャマがどうにも素敵すぎるのです。ふっくらと起毛した赤いタータンチェックのコットンネル素材。パジャマのステレオタイプど真ん中です。素敵すぎます。やたら長くて小難しい説明や自分の身の上話を書かせていただいてる本コーナーですが、このパジャマに関しては小賢しい理屈は野暮と判断のうえ割愛します。

そういえば、私がパジャマに憧れるに至ったきっかけに1本の映画がありました。2015年の映画「マイ・インターン (原題: The Intern)」でのロバート・デ・ニーロのパジャマスタイル。あれは最高です。ニューヨークからサンフランシスコの道中にまで愛用するパジャマとガウンを持参する徹底した紳士っぷりをみせるデニーロ。そりゃアンハサウェイも心許すってものです。

かくして、晴れてパジャマ紳士の仲間入りを果たした私のホリデーシーズン。このパジャマに 〈Rab〉のダウンスリッパーの極上コンフォータブルスタイルで、のんびり過ごそうと画策しています。

2021-12-22

LOOMERのウールブランケット

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別にミニマリストでもないと思っていますが、年々、身の回りのものを減らしたい気持ちが増しています。モノを取り扱う仕事に就きながら果たして是如何に…。
でも、世の中にある「良い物」を知れば知るほど自分の中での取捨選択が明確になってきて、答えが出しきれなかった「本当に必要な物」のイエス/ノーが、ちょっとはわかってきたような気がしています。

そんな自分の生活に於ける「本当に必要な物」。そのひとつに「良い布」というのがあります。厚み、サイズ、形も素材も様々に全部ひっくるめて、使い道や嗜好性を見出せたらそれはもう「良い布」です。厚くて丈夫なら敷物(ラグ)に。薄くて大きければベッドやソファに掛けてみたり。温かくて肌触りが良ければ身につける布として掛けたり巻いたり。実用的であり、モノとしての趣向性も味わえて、自分の居場所に欠かせない財産になり得る存在。それが自分にとっての「良い布」だと思っています。
これを読んでくださっている皆さんが「良い布」を欲しいと思ってくれたなら、ぜひ〈loomer〉のシェットランドウールのブランケットをお勧めいたします。

くつろぐ時間に肌に触れるブランケットはとにかく第一にコンフォータブルであるべき。とすると断然、化学繊維より天然繊維に分があります。ことウール繊維に関しては使用される糸の種類、紡績の仕方、生地の織り方で千差万別ですが、このブランケットはシェットランドウールの”梳毛糸(そもうし)”を使用していて、これはつまり”バラツキのあるウール繊維の長さを揃えて撚った糸”のこと。糸の途中に繊維端が無くなることでざらつきが少なく、より滑らかな糸になります。旧式の織機で時間を掛けて編むことで生まれるふわっとした肉厚さは空気を含んで温かく、極上の快適性を提供してくれます。

家族、住まい、仕事. . .生活環境が変わってもずっと手放せない存在。かくして、この冬から我が家の「良い布」に〈loomer〉のブランケットが加わりました。

2021-12-15

AND WANDERのフリースセットアップ

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油断も隙もありゃしない。

物事を感覚よりも理屈で捉えてしまいがちな私の脳は、〈and wander〉の生み出す”隙のなさ”に無性に惹かれてしまいます。パターンやディテール・マテリアルの全てに意図を持ち、袖を通すたびに計算された気配りを実感させてくれます。ロジカルであり、デザイナー自身がフィールドテストを経てアウトプットされた服。フィールドスペックとファッションの完璧な両立を実現し、〈and wander〉はきわめて稀有な立ち位置のブランドとなっています。

そんな〈and wander〉の生み出したマスターピース、それがこのフリースジャケットとパンツのセットアップだと思います。ファブリックのPOLARTEC® HIGH LOFT™フリースは圧倒的なロフト(かさ高)と軽さが売りで、現行アウトドアブランドの寒冷地用ミッドレイヤーの基準ともなる素材。生地コストも高価な同素材に拘ることは、このフリースジャケットが名だたるアウトドアブランドと同じ方向をみて作られている証です。加えて各部に配された高密度ポリエステルの補強は、フリースの弱点である”耐久性”を改善し、繰り返しの着用にもしっかりと応えてくれます。

〈and wander〉は日本国内はもとよりアジア・ヨーロッパの高感度なセレクトショップ、アウトドアショップに並べられ、洗練されたアウトドアブランドとしてのポジションを確立しています。その理由にはきっと、徹底された隙のなさにある種の"ジャポニスム"をみているのではないかと思うのです。

2021-12-08

渡邊翔士のプレート

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18歳にして渡米し、活動の拠点に選んだカリフォルニア・ロサンゼルス。釉薬が発する淡く美しいペールトーンは何処か「古き良きアメリカ」を想起させ、素朴で優しい空気感を孕んでいます。〈渡邊翔士 (わたなべしょうし)〉の器が醸し出すムードは、彼のバックボーンが色濃く反映されてるように思います。

翔士さんは「何焼き?と良く聞かれますが、冗談半分に“ロス焼き”、と答えてます」と仰っています。やや厚みを持たせた素朴なフォルム。加飾のないそぎ落とされたシンプルさの中に、確かにアメリカのポッターが持つ”あの”雰囲気が感じられます。それもそのはず、釉薬には60年代から70年代にかけてロサンゼルスで作られたものを実際に使用しているそうです。シンプルな単色の中にも滲みやムラを生かし、具体的なモチーフではなく抽象画のように配した模様は、見る人に様々な印象を抱かせてくれます。

翔士さんの器を見ていると、なんだか”二面性”のようなものを感じました。

ひとつに、盛り付ける料理をよく引き立ててくれる器であること。ざらついたマットな釉薬の質感も、優しく鮮やかな色味も、盛り付ける料理を一層と魅力的なものに見せてくれます。彼のキャリアの中でもアメリカ・日本のレストランへ提供するテーブルウェアを多数く手がけているという事実もまた、そんな魅力を裏付けています。

一方、インスタレーションやローカルアーティストの作品を取り扱うコンセプトストアの展開と、作陶の枠におさまらない創作活動は実に多彩。翔士さんのオフィシャルサイトでは活動の一部を公開してくれていますが、アートとクラフトがクロスオーバーする翔士さんの作品を知り、一人のアーティストが生み出すプロダクトを手軽に入手できることはなんて幸運なことだろうと、しみじみと考えたりするのです。

2021-12-01

RABのダウンスリッパー

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世界の名だたるアウトドアブランドの誕生にまつわるストーリーはどれも興味深いものですが、イギリスのアウトドアブランド〈Rab〉の場合、誕生のきっかけとなった存在に”スリーピングバッグ”がありました。自社工場で上質なスリーピングバッグを作ることから始まった〈Rab〉のヒストリーはしっかり受け継がれ、イギリス国内製造の高品質なスリーピングバッグは現在のアウトドアブランドにおいて非常に稀有な存在となっています。

そんな〈Rab〉のカタログにひっそりと存在する「DOWN HUT SLIPPER」は、冬山環境でのテント泊の際に足元を寒さから守るために生まれたテントシューズ。極軽量でしなやかなPERTEX® QUANTUMシェルに700FPのダウンを贅沢に閉じ込め、非常に優れた保温性を持ちます。テントフロア内で快適に過ごせるように厚みのあるクッションを使用したフットベッドを採用し、底部にはラバーコーティングがされていてグリップ性もあります。これら全てのフィールドスペックが、これからの時期に家で過ごす際のルームシューズとしてみても実にマッチするのです。

厳しい環境を想定し最新のマテリアルを使ってつくられるアウトドアギアですが、COVERCHORDでは日々の生活にフィットするアイテムとしてご提案したいなと思っています。サイズ展開も豊富ですので、家族みんなで揃えていただければ。

2021-11-24

TEN Cのアーティックダウンパーカ

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このダウンジャケットとの出逢いはまさに一目惚れでした。

当時はブランドのバックボーンもマテリアルの情報も一切持たず、ただ触れた瞬間に”ずっと着たいと思えるダウンに出逢った”と信じて疑いませんでした。今から少し前、まだ国内でディストリビューターが定まっていなかった〈Ten c〉というイタリアンブランドの事を知ったのはその時が初めてでした。
なお、今シーズンのコレクションやブランドヒストリーについては こちらこちら でじっくりとご紹介させていただいていますので是非ご一読ください。メンズファッションの歴史において、この先も重要な存在であり続けることは間違いなさそうです。

この「ARTIC DOWN PARKA」はインスピレーション源として極寒冷地(ヘビーゾーン)向けフライトジャケットを見据えてはいるものの、特定の具体的なモデルを想起させるディテールはなく佇まいはあくまでもオリジナルです。特徴的なステッチングが施された顎部のチンガードはミリタリーガーメント特有の補強を美しいデザインに昇華させていて、ひと目で人の記憶に残るアイコンとなっています。マテリアルのコントラストを生み出すヘリンボーンテープや二重構造のドローコードなど、この服の顔はフード周りにあると言えるでしょう。

勿論、「OJJ」を生み出した〈Ten c〉ですからマテリアルも語るべきポイントです。使用されるのは「GARMENT DYED NYLON TACTEL」と呼ばれる100%ナイロンシェル。高度な染色技術によるガーメントダイはデザイナーのルーツである〈STONE ISLAND〉や〈CP COMPANY〉で培われた珠玉の技術であり、その風合いは化学繊維らしからぬ複雑な表情を生み出します。ハイグレードのホワイトダックダウンを290g( / SIZE 50基準)とたっぷりと詰め、時代に左右されないメンズファッションのエレメントが随所に散りばめられています。

このダウンがワードローブに加わってから、冬の訪れが楽しみで仕方ありません。

2021-11-17

THE INOUE BROTHERS
のアルパカマフラー

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世の中には良質、上質な素材を使った洋服はたくさんありますが、用いる素材の生産背景まで含めたトータルで、本当の意味で”良い素材”を使って作られる衣服は多くはありません。

南米ペルー・ボリビアにまたがるアンデス山脈で育成される優れたアルパカ繊維を、適切な労働環境や生育環境のもとでファッションとして形にする。”サスティナビリティ”という言葉がまだ世の中に浸透しきらない2004年から、〈THE INOUE BROTHERS〉の理念は変わりません。

プロダクトに応じて最も適したアルパカを使い分けるなか、このマフラーには生後1年以下の毛のみを指す「ベビーアルパカ」のみを使用して編まれています。アルパカの世界にはランクがあるそうで、ベビーアルパカより繊維が細くて高価なアルパカ繊維もありますが、頻繁に着け外しを繰り返して耐久性が求められるマフラーにはこの「ベビーアルパカ」が最適ということです。一切の刺激感を廃した圧倒的な滑らかさは、原材料を生産者から直接取引することで実現した、不純物のない文字通りの100%ピュアなベビーアルパカであればこそ。

Vゾーンのゆとりに関わらず身につけやすいボリューム/サイズとフリンジ処理のクラシックなデザインは、年齢や性別を超えてずっと使い続けられる飽きの来ないもの。ちょっと肌寒いなと感じたらすぐ、巻いたり掛けたり。この秋カバーコードでは8色の豊富なバリエーションを揃えました。

このマフラーと共に齢を重ねて、増える毛玉も愛おしく感じられて。
適当に首に巻いてふらふらと散歩にでも出て、同じように季節の変わり目を感じていたいものです。

2021-11-10

POSTALCOのフルムーンウォレット

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「既成概念」を捨ててみましょう。

財布の形ってどうして四角なんだろう?
といっても、紙幣もカードも財布に入れるものは四角だし、中身の形状から考えたら至極真っ当なことなんですけどね。〈POSTALCO〉のまん丸なこの財布と出会うまでは、疑問を持ったこともなかった。

前面のスナップボタンを設けたポケットには二つ折りの紙幣とカードを、背面のジッパーポケットには小銭と鍵を。2室という最低限のコンパートメントでありながら細部まで徹底した配慮がなされていて、使うほどに〈POSTALCO〉が仕掛けた工夫とアイデアを実感させてくれます。例えば、スナップポケットの開口部は上下2枚のシンプルな構造なのですが、緩やかにラウンドしたフラップ部と開口部のカッティングの妙によって、レジ前ではごくスマートに中身を取り出すことができます。

それと、並ならぬこだわりを持った素材についても触れて置かなければいけません。
美しいシボの質感から”ペブル( =小石)”と名付けられたディアースキン(鹿革)の風合い、ライニングに使用されるコットンシャンブレーのクラシックな佇まい、経年とともに艶を増していくブラスパーツ。素材の持つテクスチャーが、優れたデザインの中で静かに、しっかりと主張します。

キャッシュレスな日常が着実に浸透してきて、昔と比べたらまとまった現金を持ち歩くことも、大量の小銭で財布が重くなることも減ってきました。
「財布」そのものの必要性がちょっとだけ軽くなったように感じてたところで、〈POSTALCO〉が提案してくれたある種の気軽さ。現代のライフスタイルにフィットする、とても魅力的な逸品です。

2021-11-03

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