今週の逸品

セレクトしたアイテムの中から長く愛せる「逸品」をご紹介。

SUSGALLERY
のチタンタンブラー

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素材の話。
登山に行く時にはクッカーを必ず持っていくのですが、大手アウトドアメーカーなんかでは大体二種類の素材をラインナップしています。"アルミ"と"チタン"です。"ステンレス"という選択肢もあるのですが、ステンレスはなかなか重いのでどちらかというとファミリーキャンプ向け。

アルミとチタン。
アルミは熱の伝導率が高くてすぐに水が沸くのでガスの消費量を抑えられます。が、ちょっと重い。登山ではグラム単位の積み重ねで行動力、疲労度に違いが生まれます。時と場合によっては命に繋がる大事なポイントです。チタンは熱の伝導率こそアルミより劣るものの、とにかく軽くて丈夫です。が、高い。そう、登山道具って軽いものは高いのです。ダイニーマとかもそうですね。軽さを買う感覚です。

使い古されてボコボコになったアルミのクッカーも雰囲気があって好きなのですが、iPhoneも最終的にはハイエンドモデルを選んでしまう自分としては、どうしてもチタンの誘惑に抗えないのです。熱伝導率悪いって言っても金属だからきちっと水も沸くし、値段は高いけどとにかくこの軽さには代え難い。人工関節とかインプラントのような医療用としても使えるし、海水にも強いし、ステンレスの半分ぐらいの軽さでアルミの3倍強いし、トータルで見た時のチタンの金属王者感が堪らないのです。なんならチタンという名前がまず格好良いです。
ちなみに〈ayame〉の名作"MANRAY"もチタン製です。あまりに軽過ぎて掛けている事を忘れるほど。これはまた別のタイミングで嫌というほどご紹介させて頂きます。

さて、前置きが長くなりました。毎週長くなってしまっております。3週にわたりご紹介している「燕三条」から、金属の王者チタンを贅沢にも使用した逸品をご紹介します。

〈SUSgallery〉のチタンタンブラーは、世界初のチタン製真空二重構造のタンブラーです。魔法瓶なんかでよく見かける"真空二重構造"をチタンで作っています。これは本当にすごい事です。株式会社SUSさんの努力は、尋常では無いものだったと容易に想像がつきます。

先に挙げた通りチタンはめちゃくちゃ"硬くて頑丈"です。硬くて頑丈なのは良いことですが、製造過程においてはその頑強さが障害になることも多く、切ったり削ったりの加工がアルミやステンレスの比では無いレベルでとても難しく、力が加わり過ぎると割れてしまう。
苦労の末、その問題をクリアした先に待っていたのは、開発に携わった人たちも予想していなかったチタン表面に現れた独特の凹凸の美しさです。持った時の手にしっくりくる質感や見た目が、金属であるはずなのにまるで焼き物のよう。このテクスチャーが個人的には一番好きなポイントです。
更に着色などは一切行わずにチタン表面の酸化被膜の厚みを調整して、光の反射具合で色彩を表現しているというのだから驚きです。

真空二重構造なので、外気と飲み物の間に真空が挟まります。これによって保温保冷性能が抜群に高く、氷は溶けにくく温かいものは冷めにくい。そしてロックでお酒を飲んでる時にとても助かるのが、結露をしないのでコースターが不要なことです。木のテーブルなんかでコースター無しでロックグラスを使っていると、テーブルに跡が残ったりと結構気を使うので生活に寄り添ってくれるナイスなポイントです。

テーブルにポンと置いておくだけでも様になってしまう、さながらアートピースのような〈SUSgallery〉のタンブラーは、職人さんの高い技術力と努力の結晶です。贈り物にも最適です。これを贈ったら最高に素敵だと思います。お返しに困るレベルです。

3週にわたり「燕三条」の逸品をご紹介させて頂きました。燕三条の皆様の素晴らしいところは、アイデアももちろんそうなのですが、団結し、なんとかして目的を実現しようとする職人の方や開発者の方々のチームワークや情熱だと感じずにはいられません。商品を買ってただ使うだけではあまりにもったいない素敵なストーリーがそこにはあり、そんなストーリーを知った上でこのタンブラーで飲む焼酎のロックは、また一味違うのでは無いかと思います。

2021-04-20

庖丁工房 タダフサの庖丁

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「桜が散り、新緑の季節がやってきました。」
毎年何かしらの文章として、この時期になると深くは考えず条件反射的に書いている気がするこの文言ですが、また実際に今年も桜が散り、新緑の季節がやってきました。やってきてしまいました。
今年は特に早く、ふと空を見上げたら桜が舞い散り緑が生い茂ってる状態でした。電光石火です。歳を重ねるごとに時間の流れが感覚的に早くなると言いますが、あまりに早過ぎます。このままでは気付いた時には自分が枯葉になってしまいそうです。夜な夜な枕を濡らしそうです。そんなことを思う度に一日一日を大切に過ごさないとやばい、と自分を戒めるわけです。変な顔になるカメラアプリで同僚を撮って笑っている場合ではありません。多分明日も撮ってしまうと思いますが、もうそんなことをしている暇は無いのです。

"生活"という言葉があります。
文字通り"生きて活動すること"が基本の意味ですが、最近ではより柔軟に広義な意味で使われますね。寝ていても起きていても、外にいても家にいても常に"生活"ですし、ある意味では個人個人の生き方・生き様とも捉えられます。
我々COVERCHORDはそんな生活をする上で必要不可欠な"衣・食・住・旅"をより一層楽しめるものやことを皆様に提案していこうと日々模索しながら精進しているので、枯葉だなんだと言っている場合ではありません。同僚に怒られそうです。前を向き生きていこうと思います。

先週の〈HECTA DESIGN〉のウッドコットに続き、今週も鍛治・金物の街として世界に名高い"燕三条"から、生活する上で必要不可欠な"食"を支える庖丁の決定版をご紹介します。

戦後間も無い1948年に創業した〈庖丁工房タダフサ〉は、職人の手作りによる庖丁製造・販売を一貫して行う老舗。以前に"明確な目的をもって作られたプロダクトは美しい"と書いたことがありましたが、今回ご紹介する庖丁も"切る"為に創り出された存在であり、余計な機能や装飾は一切無し。極限まで"足るを知る"を体現していて、プロダクトとして震えるほど美しい佇まいです。潔い。

種類が多く専門的でちょっと敷居の高い庖丁ラインナップを見て「どれ選んだらいいかわからないよ」という人の為に、〈庖丁工房タダフサ〉では"基本の3本、次の1本"として「まずこれを揃えれば充分だよ」という提案がしっかりとなされています。万能三徳・万能ペティ・パン切り庖丁が基本の3本です。それ以外にも種類は豊富にありますが、実際問題まずはこの3本に慣れてからで大丈夫です。ほとんどこの3本で事足ります。
当店では万能三徳と万能ペティを既にお取り扱いしていますが、パン切りは入荷を待っています。外国人の方からの人気も相当なもののようで、注文を入れてから年単位で待つこともあるそう。私が枯葉になる前にちゃんと入荷があるといいです。

三徳とペティは一般家庭で最も使用頻度が高い2本。特に三徳はお肉や野菜、果物を切る際に重宝するので一番出番が多いです。サイズは小さいキッチンでも取り回しがし易いちょうど良い塩梅。
素材には"SLD鋼"と呼ばれる、鉄すら切断すると言われている硬度、強度が非常に高い素材を使用しています。オールステンレスのものと比較しても錆への耐性は遜色無いレベルですが、使用後に水分を拭かないでそのまましまう、などすると錆びます。全く錆びないというわけではないです。使用後はきちんとメンテナンスをしなければいけませんが、その代わりタダフサならではの切れ味を楽しめます。恐ろしいぐらいのサクサクぶりです。

また、最も特徴的なのは柄(ハンドル)部分。タダフサの特許技術から生まれた"抗菌炭化木"を使用しています。
"抗菌炭化木"は木を燻製状態にして、炭の一歩手前の状態にした木材のことで、これが実現したことによるメリットは大きく、菌が付着したとしても菌の栄養分が木に残っていない為に繁殖できずに死滅してしまう。さらにはそんな加工がしてありながらもきちんと木ならではの風合いは残っていて、使い込むほどに味わい深くなる、という良いとこ尽くしの素材なのです。

SLD鋼は切り味が長持ちすると言われている素材ではありますが、万が一"切れなくなってきたかも、、"という場合には研ぎ直しにより復活します。
「そんなこと言われてもやり方がわからないよ」という方にはHPに研ぎ方の詳細が書かれています。それでも尚「自分の腕が信用できないし不安だよ」という方には研ぎ直しサービスがあります。アフターケアも充実しているタダフサさんはユーザーに寄り添った素晴らしい企業です。

〈庖丁工房タダフサ〉の"工房心得"の最後にこう書かれています。
"誇りを持ってものづくりに取り組む事。三条の子供たちの憧れとなるべき仕事にする事"と。
この言葉だけでも真心込めて作られた庖丁だという事がわかります。日々使うものこそ、人の心がきちんと込められた製品を使いたいです。それだけで生活の質が向上する気がするし、新緑のように生き生きと日々を送れそうです。

グルーブに乗ってきたので、次週も燕三条から逸品をお届けします。

2021-04-13

HECTA DESIGN
のウッドコット

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自宅が大好きです。自宅を愛しています。
自分の周りには休みの日に家にいられないという人生を謳歌しているアクティブな友人ばかりですが、私の場合、家でやりたい事や趣味が多過ぎて出来ればずっと自宅にいたいという気持ちが強いです。想いが強めです。
自宅から海まで5,6分という立地で、都心生活の時とは比較にならないぐらいの海街diaryっぷりですが、あんまり海には行きません。行くとしても体育座りで夕焼けを眺めて黄昏れるぐらいの根暗徹底ぶりです。

コロナ禍になるずっと以前から自宅大好きスタイルを磨かせて頂いており、自宅で過ごす時間を充実させる為の投資に関しては、財布の紐がゆるゆるです。自分の話ばかりで恐縮ですが、反してアウトドアも大好きです。アウトドアは人がいない人里離れた場所に"引きこもる"という感覚で大好きです。なので、大人数のキャンプより一人登山派です。
そんな事ばっかり言ってると二度と遊びや食事に誘ってもらえなそうですが、それは別腹です。喜んでお誘いには乗っかりますので、関係者の皆様、友人の皆様、先輩後輩の皆様、引き続きよろしくお願いします。

そういえば、ご紹介したいアウトドアの逸品がたくさん溜まっています。このペースではご紹介し切るのが20年後ぐらいになってしまいそうですが、週一心を込めて書かせて頂いております。

さて、〈HECTA DESIGN〉のウッドコットです。日本が世界に誇る金物の町、MADE IN 燕三条。完全にアウトドア使用で考えていて、軽量且つ取り回しや実用性を重視するならアウトドアブランドの軽量コットをお勧めします。
〈HECTA DESIGN〉のウッドコットは、コンパクトにまとめられて持ち運びも比較的楽ちんなのでもちろんアウトドアでも使えますが、どちらかというとこのコットの雰囲気は、自宅のテラスやベランダ、リビングのほうがハマると思います。特に木の家具が多い方にはお勧めです。初めて使う単語ですが、ベストマッチングです。家の中に木がある安らぎの生活。

人や動物に優しいドイツ製の植物性オスモオイルで仕上げた天然の堅木をメインフレームに使い、それらの木を繋ぐパーツは、職人に手によって丁寧に作られたサビに強いステンレス製のオリジナルパーツ。これがまた美しいのです。"燕三条"というフィルター抜きにしても一見して分かる美しい仕事っぷり。
メインの座面部には綿帆布生地を使っていてとても柔らかく、肌触りと寝心地が抜群。昼寝にベストマッチングです。重量がかかりやすい中央部は生地を二重にし、その上からクロスステッチ縫製を施して生地が伸びにくい仕様にしてあります。
ただし、万が一生地が伸びて"ちょっとゆるくなってきたな"と感じても大丈夫です。このコットの最大の特徴なのですが、フレームについたリングをくるくると回すと、簡単にテンションを強くすることができる独自システム搭載なのです。長く愛用することを前提とした安心のシステム。メーカーである小澤工業さんの、人の手の温もりが込められた逸品です。

ちなみにウッドフレームなので、屋外常設はご法度です。木が弱るので面倒くさがらずにその都度しまいましょう。たまに木にオイルを塗り込んでやると更に長持ちするそうです。

写真のように大自然をイメージしつつ寝袋に入って、孤独感を味わいながらチルするのもアリです。

2021-04-06

TRANSITの写真集

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私たちCOVERCHORDととても縁が深い〈TRANSIT〉。
毎号毎号テーマを絞り、素敵な写真と読み応えのある文章で、ここではないどこかへ僕らの意識を運んでくれる最高のトラベルカルチャーマガジンです。実はオフィスが隣同士ということもあって、編集部のみんなが毎号どれだけ心血注いで作っているかを昔から間近で見ている分、僕自身も思い入れが人一倍強いのであります。

よく人から言われるのは「TRANSITって、読むと行った気になれるよね。」という言葉。ただの旅先ガイドブックとは一線を画す熱量とクオリティで制作している〈TRANSIT〉にとって、それはある意味最高の褒め言葉なはずです。

かくいう自分も、ペラペラとページを捲って知らないうちに行った気になっているうちの一人。TRANSIT本誌に載っている風景やその地で暮らす人々の写真は、匂いや吹く風までもを感じられそうなほど、うまくその場の"空気感"を捉えているものが多く、それはフォトグラファーさんの力はもちろん、レイアウトや写真と文字のバランス、印刷する紙質、先のインタビュー記事で編集長も言っていた通り、各号のテーマに合う文字フォントを使用していたりと、大枠から「そこまでやる?」というぐらいのディテールまでもを詰めまくって、こだわり抜いている"美学"があってこそです。

そんな美しい写真だけを贅沢に集めたTRANSITの初写真集を2019年にリリースしました。"THE LANDSCAPES=風景篇"と"THE PORTRAITS=人物篇"の二冊です。おかげさまで多くの方に手に取って頂いているようで、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが改めて。

僕は映画を観る時の感覚と近いものをこの写真集から感じとっています。想像と言うべきなのか、妄想と言うべきなのか、動かない写真だからこそのイマジネーションによるストーリー。登場人物たちが頭の中で動き出し、一瞬のシャッター後のストーリーを綴る。
「きっとこの人たちはこんな場所でこういうふうに考え、こんな生活を送っているんだな」という姿、風景に思いを馳せる。根暗の極地であります。

自分が映画を観るのは、ジェットコースター的なエンターテインメント性に浸る以外にも、情報やスタイルインプットの為、そして"ポジティブな現実逃避"の為だと考えていますが、この写真集の中にも同様に"ポジティブな現実逃避"が出来るたくさんのストーリーが収められています。巻末にはそれぞれの写真が撮られた場所についての簡単なキャプションが添えられており、それを読むとさらに想像が広がります。

個人的にお気に入りの写真をほんの数枚載せますが、みなさんはこの写真からどんなストーリーを想像しますか?

単純に"美しい景色&人物の写真集"として見ることももちろんお勧めですが、ぜひその一歩先に踏み込むのをお勧めします。
"ポジティブな現実逃避"というのは書いている自分でもよく意味はわかりません。
2021-03-30

FFMのニットマスク

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ニットのエキスパート"バスターズカンパニー"が世に送る〈FFM〉のニッティングマスク。
バスターズカンパニーさんとはとても長い付き合いで、社員であるSさんと会った時に自分がニットを着ていたら「どこのニットですか?素材〇〇でしょ?混率〇〇%?」といつも囲み取材を受ける流れとなり、しかも大体それが当たっているというハイレベルなニットのプロ集団です。

私が昔お店に立っていた頃、社長のKさんがこの時期になるとお花見がてら毎年必ずほろ酔いで奥様と遊びに来てくれていたのはとても良い思い出。すぐに顔に出る方なので、いつも顔が真っ赤だったのもとても良い思い出。人柄含め、みんな素敵な方達ばかりです。

最初の緊急事態宣言発出が去年の4月だったので、マスクを常時付ける生活を初めてちょうど一年ぐらいでしょうか。去年のこの時期、目黒川沿いは随分と変な雰囲気だったのを覚えています。お花見したいけどコロナ怖いし、私たちは私たちでこのまま普通に営業してていいのか、営業時間を短くするべきか、そもそも営業自体を自粛するべきなのか、私たちもお客様もお花見で出てきている方達も、みんながみんな不安を隠し切れない中で桜を楽しむ、という異様な状況でした。

あれから一年経ち、また桜の季節がやってきましたが未だ予断を許さない状況。花粉症がひどい自分は春になるとマスクが元々手放せませんでしが、気付けば一年中付ける事態に。まだまだ当分はマスクと過ごす生活は続くでしょうし、洋服と同じように気分で付け替えるというぐらい、この一年で生活の一部、生活の当たり前になりました。

デザインも気が利いていて、とにかくずっと付けてるから着け心地重視で、何か良いマスクは無いかな?と探していた時に出会ったのが〈FFM 〉のマスク。どうせなら好きな人たちが作ったものが理屈抜きに良いし、試しに着けさせてもらったらそのクオリティもバッチリでした。

やっぱり餅は餅屋。ニッティングのプロが作ったニットマスクは、顔に装着した時のラインを緻密に計算しているし、伸縮するレーヨンポリエステル混紡の糸を使っていたり、夏場に付ける事も考慮して接触冷感の糸を使っていたりとどのモデルもストレスフリー。ゆるくなった時の事も考慮して、紐を短く留めるパーツが全モデルに付属する至れり尽くせりっぷりでこの値段です。

すぐにお取り扱いをさせて頂くことになりましたが、一回目の入荷の際はありがたいことに一日で完売。少し時期は空いてしまいましたが、今回は大量に作って頂いたので今ならまだ色も選んでいただけます。
ニットのプロが手掛けたこのご時世ならではの逸品をぜひお試しください。
2021-03-23

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