
COVERCHORD EXCLUSIVE
HOW TO WRAP_
POP-UP EVENT
at COVERCHORD Nakameguro
山本考志氏が手がける、日本の”包む”を再構築したブランド。
COVERCHORD Nakameguro にて、2日間限定のイベントを開催。
11月29日(土) ・30日 (日) 開催
COVERCHORD Nakameguroにて〈HOW TO WRAP_〉のPOP-UP EVENTが開催される。
〈HOW TO WRAP_〉は、山本考志氏が“現代に適した包み”を考え、それを表現するブランドとして、2014年に立ち上げた活動である。
日本の“包む”文化を継承しつつ、その価値を再考し、現代的な視点を加えたプロダクトを発表してきた。
本企画では、日本の伝統的な結びや編組の技法を石に施した「WRAPPED STONE」と、日本庭園に見られる“関守石”を再構築した「SEKIMORI STONE」を、これまでにないほどの多くの種類を揃えて展示する。
天然の石ならではの、自然物が持つ唯一無二の造形と、かすかにベージュを帯びたマーブルの色。一つひとつ違う石に、山本氏が厳選したレザーの色味が調和し、コンテンポラリースタイルのインテリアにも馴染む、モダンなオブジェとして成立している。
特集記事後半では、山本氏のアトリエを訪ね、制作過程とそのフィロソフィーに迫る。
〈HOW TO WRAP_〉のPOP-UP EVENTは、2日間のみの開催。この機会にぜひご来場いただきたい。









編集することで継承される
日本古来の“包む”文化
山本考志氏が手がける「WRAPPED STONE」および「SEKIMORI STONE」は、日本文化を象徴する造形や技巧を、現代的な視点から再構築したシリーズである。
温もりあるベージュ色を帯びたマーブルの石肌に、レザーコードが静かにしっかりと絡む。自然が生んだ造形に、最小限に人の手を加えることで、石はオブジェとしての気品を纏う。
自然と人の手から生まれた造形は、人が暮らすどんな空間にも無理なく馴染む。
それは、単なるクラフトの域を超えた、歴史ある文化と技、自然への礼賛を想起させる、新しい“かたち”だ。
「WRAPPED STONE」と「SEKIMORI STONE」の制作は、素材探しから始まる。
日本海沿いで採集される石は、煮沸され丁寧に清められ、自然の形を損なわないよう慎重に整えられる。
レザーを巻く工程は、無心の境地。革紐を使う理由について山本氏は、「新しい価値を宿す、より洗練された関守石をつくりたかった」と語る。
機能性ではなく、作品への誠実さで素材を決める。年月を重ねるごとに深い味わいを帯びる高品質なレザーを用い、石のフォルムを最大限生かす巻き方を探る過程で、手作業の精度が静かに研ぎ澄まされていく。


山本氏は大学卒業後、目黒通りのインテリアショップ〈MEISTER〉に入社。そこでモダンデザインのヴィンテージ家具や小物、様々なデザインとの制作背景に触れる一方、日本の古い書籍にも興味を持ち始める。
そんな頃に出会ったのが岡秀行著『How to Wrap Five Eggs: Traditional Japanese Packaging』(日本版タイトル『日本の伝統パッケージ』)である。
書籍からしか得られない情報の多さに驚きつつ、日本の伝統的な造形が持つ意味、そして“包む”という行為が日本文化の根源に深く結びついていることを知り、強く惹かれるようになった。
ちょうどオンラインショッピングが広まり始める時期でもあり、「日本の包む文化を継承しつつ、現代のライフスタイルに適したラッピングがあっても良いのではないか。存在しないのなら“包み”を請け負う業者としての活動が成り立つのではないか」と考え、“包む”を軸とした活動を立ち上げた。
現在はギフトラッピングこそ行っていないが、その試みこそが〈HOW TO WRAP_〉の原型であり、包むという概念を再解釈する重要な起点となった。
関守石をオブジェとして制作し始めた頃、山本氏はアメリカのアーティストであるDeloss Webber(デロス・ウェバー)の活動を知る。
Webberは40年ほど前に、日本の竹籠細工や籐細工の技法を石に巻きつけるという作品を手掛け始めた、WRAPPED STONEの先駆者的存在である。
彼の多くの作品を目にした山本氏は、関守石にも同様にみられる“石を包む”という行為が持つ純粋な力に、深く心を動かされたという。自然物と手仕事が結びつく美しさは、そのまま現在の作品に通じている。
2024年に独立した山本氏は、日本発のデザインジャーナル『Ilmm』の創刊メンバーとして企画運営に携わりながら、ショップのマーチャンダイジングや、インテリアプロジェクトのコーディネートも行っている。
裏原カルチャーを体験し、家具、デザイン、編集の現場を横断してきた歩みが、現在の“編集的な造形表現”へと結びついている。
「元々器用ではないが、続けることで精度が上がる。その過程が好きなんです」と山本氏は優しく語る。
自身の造形は“生み出す”というより、自然がつくり出した形を“編集する”感覚に近い。
関守石が「ここから先へ進まないでほしい」という暗黙の印として機能するように、日本文化は余白を読み取るハイコンテクストな構造を持つ。
「WRAPPED STONE」と「SEKIMORI STONE」は、日本の伝統文化の本質と、現代の美意識をつなぐ試みである。そして、自然物と人の技が溶け合う境界にこそ、〈HOW TO WRAP_〉の思想が宿っている。


HOW TO WRAP_
POP-UP EVENT
at COVERCHORD Nakameguro
会期:11月29日 (土) ・30日 (日) 11:00 - 19:00
※初日29日(土) 作家在店予定
会場:COVERCHORD Nakameguro
東京都目黒区青葉台1-23-14 1F
Instagram_@coverchord nakameguro
※売れ行き状況により、早期終了となる場合がございます。お早めのご来場をご検討ください。
※お一人さま合計2点までの購入制限を設けさせていただきます。
※COVERCHORD Nakameguroのみの販売となります。Online, Fukuokaでの販売はございません。
HOW TO WRAP_
現代に適した“包み”を考えるブランドとして2014年に始動。
日本の包む文化を継承しながら包むことの価値を改めて見つめ直し、コンテンポラリーな要素をデザインに取り入れることで、現代のライフスタイルに合うような新しい包みのかたちを提案しています。
Instagram_@howtowrap_

山本考志(やまもと・こうじ)
〈HOW TO WRAP_〉主宰。
大学卒業後、2002年にヴィンテージやオリジナルプロダクトを扱うインテリアショップに勤務。
その後、輸入家具商社、外資家具ブランドを経て、2024年に独立。
日本発のデザインジャーナルマガジン『Ilmm』の創刊メンバーとして、企画・運営に携わる。
造形作家として〈HOW TO WRAP_〉、〈TENSEGRITYLAB.〉の活動を行う一方、ショップのマーチャンダイジングやインテリアプロジェクトにおけるコーディネートも手がける。
Instagram_@ynmo
イベントによせて -作家コメント-
私が石を用いた作品をつくり始めて間もない頃、ショップの内装を手掛けていた〈METRONOME INC.〉の山嵜さんを通じてCOVERCHORDバイヤーの小田さんを紹介していただいたのが、5年ほど前のこと。
まだ自分の作品の価値すら確信できず、小さく活動していた頃に興味を持っていただけたことは、本当に嬉しかったです。カルチャーの境界を越えて様々な価値観が交わる場所で、自分の作品がどのように受け止められるのか、当時はとても興味がありました。
実際に並べていただいたとき、多くの方が手に取ってくださったことは、大きな励みになったと思います。COVERCHORDは、自然や人の営み、工芸をはじめとした文化に触れることの価値を、互いに同じ温度で感じることができているというか、そんなところがいつも心地良くおもっています。
今回、イベントというかたちで改めてお声がけいただけたことには深い感慨があって、かつて初期の作品を手にしてくださった方々にも、ぜひ足を運んでいただきたいと思ってます。この数年でどのように変化し、何が研ぎ澄まされてきたのか。自分ではわからない部分もありますが、今の作品を通してそれを感じてもらえたら嬉しく思います。

























