2025-3-23
新生活に迎えたい
廣田硝子の醤油差し

僕が考える「食を取り巻く気分のいい暮らし」は、「詰め替える」ことから始まります。
床に散乱するズボンや靴下は許容できるズボラさんですが、食卓が散らかっているのは何故だか我慢がならん性分です。
財布や車の鍵、チラシなど……食に関連しない異物がポンと放置されている状況にストレスを感じます。
更に言えば卓上に並ぶ調味料や食材は、(ものによりますが)可能な限り別容器に詰め替えたい。という局所的なこだわりがあります。
例えば、卓上で使う塩胡椒はミルや瓶へ、飲み物は飲む分だけピッチャーへ、バターはバターケースへ。
そして日本の食に欠かせない調味料、醤油。醤油こそ醤油差しへ!!
メーカーによる目覚ましい企業努力の結晶ですね。昨今そのまま卓上に置ける小ぶりで便利な醤油ボトルが売られておりますが。ごめんなさい、あれ苦手です。
パッケージが、生活感を匂わせすぎるというか……卓上の美観を乱す気がしてならないのです(空気に触れることなく、醤油の鮮度を保つなどの構造は、本当に素晴らしいですよね)。
住まいは変わらずとも、心機一転さまざまな暮らしの道具を新調したいこの季節。
僕は〈廣田硝子〉さんの「元祖すり口醤油差し」をお家にお迎えしました。
ほんのりとした黄緑の味のあるガラスと、摺り合わせ加工がされた「すり口」。機能と造形の良さを兼ねた本当に美しいプロダクトです。
暮らしの中に、あえてひと手間を加わる「詰め替える」習慣。
一見すると合理性に欠けますが、この無駄が、暮らしの豊かさでもあると思うのです。
風呂場でせっせとシャンプーを別のボトルに詰め替える同居人には「なーにを無駄なことを……」と思う僕ですが。
食卓でトクトクと醤油を流し入れる僕を見て、相手方も僕に同じ感情を抱いているのでしょうな。
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