COVERCHORD EXCLUSIVE
工藤真人工房 個展
凛とした佇まいの中に、情熱と温もりを宿したうつわ
シンプルで洗練されているのに、温もりを感じる生活陶器。
9月7日(土) より、陶工・工藤真人の個展を開催。
茨城県阿字ヶ浦町に拠点を置き、35年以上にわたり生活陶器を作り続ける〈工藤真人工房(くどうまひとこうぼう)〉。
美しく凛としたシンプルなフォルム。それでいて、どことなく人の温もりが感じられるうつわの数々。陶工・工藤真人氏の作品には、人の生活に優しく寄り添う普遍的な魅力が宿っている。
そんな氏の作品を数多く取り揃えた「工藤真人工房 個展」が、9月7日 (土)よりCOVERCHORD Nakameguroにて開催される。
今回の個展では、北欧クラフトをインスピレーション源としたプレートやボウル、マグカップなど、〈工藤真人工房〉を象徴する深いコバルトブルーの人気作品をはじめ、多彩なカラー、様々なバリエーションのうつわを取り揃えた。その数なんと100型500点以上。また、本個展のために特別に制作された使い勝手の良いオーバル皿や、一点物の花器・壺など新作も展示される。〈工藤真人工房〉の豊かな表現を楽しめるまたとない機会を是非お見逃しなく。
本特集では、個展開催を前に、日々日常の生活に寄り添う〈工藤真人工房〉のうつわを一部ご紹介しよう。そして、記事後半では陶工・工藤真人の作陶風景に迫りたい。
コバルト釉変形ボウル ¥7,000
コバルト釉マグM ¥3,000
コバルト釉カフェオレボウルM ¥2,700
コバルト釉リムプレート 25cm ¥6,500
コバルト釉Aリムボウル ¥7,000
黄釉リムボウル ¥6,000
白マットオーバルプレートS ¥3,800
白マットオーバルプレートM ¥5,000
コバルト釉マグM ¥3,000
白マットラウンドプレートM ¥5,000
コバルト結晶釉マグL ¥3,500
ミントグリーンラウンドプレートM ¥5,000
ミントグリーンスープ皿(浅鉢) ¥4,500
ミントグリーンボウル ¥5,000
銅結晶釉リム付きボウル ¥6,000
コバルト釉リムボウル ¥8,000
藁白ブルーラインケーキスタンド(コンポート皿) ¥7,000
白マットカトラリースタンドA ¥5,000
ミントグリーンラウンドプレートM ¥5,000
ミントグリーンスープ皿(浅鉢) ¥4,500
ミントグリーンボウル ¥5,000
銅結晶釉リム付きボウル ¥6,000
工藤真人工房
を訪ねて
私たちCOVERCHORDと〈工藤真人工房〉のうつわとの出逢いは、松本市で開催されたクラフトフェアだった。
「このうつわを作った人は一体どんな人だろう?」
多くの陶器が並ぶ中、ひときわ目を引く〈工藤真人工房〉のうつわ。初めて手に取ったとき、作者の人となりが気になった。
陶工・工藤真人という人間を知るべく、私たちは茨城県阿字ヶ浦の工房を訪ねた。
実際にお会いした工藤真人氏は「豪傑」という言葉を体現したような力強い生命力とエネルギーに満ちた人間だった。
東京は新宿歌舞伎町に、生け花の評論家であり調度品集めが趣味の父と、古美術商で働く母の元に生まれた工藤氏。現在の作品のインスピレーション源となる北欧クラフトや、古美術作品の数々は、幼き頃より当たり前に身近にあり、慣れ親しんだものだった。
都会の喧噪と、東京の得体の知れない居心地の悪さに青年時代を鬱々と過ごしたという。
後に知り合いの伝手を辿り、愛知県常滑市に陶芸の修行へ。陶工としてのキャリアの礎を培った。
陶芸の修行を経た後、1年間に渡り世界を旅した。イタリア、ギリシャ、トルコ、スペイン、イラン、パキスタン、インド。
各国で陶芸家や、様々な作風との出会いがあったが、国ごとの文化を背景とした「癖」に触れた経験から多くの実りを得た。
「真面目すぎる日本人とは違ってみんなテキトーでさ。日本では当たり前とされていた『自分が嫌だな、窮屈だなって思っていた部分』が世界では普通じゃなかった。それを知れただけで幾分心が楽になってさ」
帰国後、工藤氏が自宅兼アトリエを現在の阿字ヶ浦に構えたのは1987年のこと。
この地に根ざし、奥様と二人三脚。〈工藤真人工房〉として35年以上にわたり作陶を続けてきた。
50代までは「自分の個性をいかにして世に知らしめるか」にエネルギーを傾けていたという氏の作陶。
年を重ねるごとに考え方は次第に変化し、「用の美」の面白さに傾倒していった。
シンプルで実用的な物を作ろうとすると、素材の土選びから成型まで、より高く均一なクオリティが求められる。
キャリアの上にも決して胡座をかかず、考え試行錯誤をする時間を心の底から楽しんでいた。
轆轤へ向かう工藤氏の真剣な眼差しには、職人としての気骨に混じり、まるで子供が玩具と向き合うかのような、純粋無垢な無邪気さが宿っている。
本人にそれを伝えてみると、少しはにかみながらこう答えた。「振り返れば成り行きで始めたこの仕事、けれど長い間続けられている。こんなにも没頭できることを見つけられた。自分は本当に幸せだなって思うよ」
今、轆轤を廻す時に頭に思い描くは「自分のうつわを使う人の暮らし」だという工藤氏。
誰よりも作陶を楽しみながら、情熱と温もりを持って生み出される工藤氏のうつわには、使い手の生活に寄り添う力がある。
未来の展望について聞くと、工藤氏は間を置かず答えた。
「これからも作り続けるよ。用の美を追求しながら、今度はそこに自分の色を足したらどう作用するのか楽しみ」
挑戦を辞さない工藤氏の、陶工としての矜持。
今回開催される「工藤真人工房 個展」に並ぶ作品に、新たな一面を見出すのが今から楽しみで仕方がない。
1958年 東京都港区赤坂に生まれ。 新宿歌舞伎町で育つ。
1980年 早稲田大学中退。
1980年 愛知県常滑で陶芸の修業。
1984年 スペイン、イラン、インドなどで工芸の研究。
1987年 茨城県阿字ヶ浦町にて作陶開始。
Instagram_@mahitokudo_potter
工藤真人工房 個展
at COVERCHORD Nakameguro
会期: 2024年9月7日(土)– 11日(水) 11:00 - 19:00
会場: COVERCHORD Nakameguro
東京都目黒区青葉台1-23-14
※売れ行き状況により、早期終了となる場合がございます。お早めのご来場をご検討ください。
※COVERCHORD Onlineでも一部商品を販売いたします。
Instagram_@coverchord_nakameguro
個展に寄せて
COVERCHORDさんとは、松本クラフトフェアで声をかけていただいた以来のお付き合いです。私は40年近く陶器を作っていますが、現在のようなシンプルなテーブルウェアを作る以前は、織部・志野・唐津など、日本の伝統的な焼き物を作っていました。40年も飽きずに作陶を続けてこれたのは轆轤仕事がたまらなく好きだったからです。
COVERCHORD さんのバイヤーさんも三代目となり、66歳の年寄りには若いスタッフさんの穢れを知らない躍動感にはいつも勇気をもらっています。ありがとうございます。
今回の器を作るにあたってはクラシック・スタンダードという言葉をずっとイメージしながら轆轤を回し、釉がけをして、窯に詰めて焼き上げました。轆轤の良いところは前近代的な量産の道具だということです。工業的機械で作ったものと異なり成形する時に人間の手と指を使うので器の一つ一つがその時の作り手の精神の揺らぎによって量産品でありながら一つ一つが唯一無二の器となります。静止状態ではシンメトリーに見えても回転させると若干アンバランスなのがわかります。私は古陶の良さは西洋の器も含めてアナログ的な道具による”ゆるさ”だと思っています。
個々の器の説明は大変なので省略しますが、コバルト釉、白マット釉、結晶釉など、シンプルな色のトーンと釉調の深みを意識して作りました。器のフォルムは、クラシックでスタンダードな、生活の中に自然に溶け込むことを願って、というよりは、長年、器を作り続けてきて出来上がった、無意識に感じる自分の気持ちの良い形だと思っています。あと何年焼き物を作ることができるかわかりませんが、元気なうちはこれからも轆轤を回し続けたいと思っています。