COVERCHORD FEATURE
NEW SELECT BRANDS
AW 2025
この秋冬シーズンよりCOVERCHORDのラインナップに加わった、
チェック必須、今旬のブランドをご紹介。
秋冬シーズンもいよいよ本番。衣替えはもちろん、冬服の準備を始める頃合いだ。
各ブランドからも新作が続々と到着して、秋冬コレクションが出揃ってきた。
ラインナップが充実したこのタイミングで、今シーズンからCOVERCHORDに加わった8つのブランドを、バイヤーの声と共にご紹介したい。
機能に優れた上質な素材、デイリーに着られる万能さ、着る人の個性を引き立てるデザイン。
COVERCHORD独自のセンスで厳選した、今必見ブランドの豊かな個性をお楽しみあれ。
ROA
〈ROA〉は、イタリア・ドロミーティ地方を拠点に、2015年に設立されたアウトドアフットウェアブランド。
イタリアン・クラフトマンシップによる品質の高さが特長。登山やハイキングといった本格的なアウトドアシーンはもちろん、その洗練されたデザインはファッション感度の高い層からも支持を集め、次世代のアウトドアスタイルを提案している。
ブランド名は、ドロミーティ山脈のハイキングスポット「Forcella della Roa（フォルチェッラ・デッラ・ロア）」に由来する。
Instagram_@roahiking
COVERCHORD
BUYER’S VOICE
〈ROA〉は、昨今のシティユースにアウトドア要素を取り込んだ「ゴープコアシーン」を語る上で外せない存在だと思います。
いまや街でも山でも見かけるようになった“機能的で美しいアウトドアシューズ”という流れを、本格的に打ち出した最初期のブランドのひとつです。
拠点はイタリア。数ある名門ファクトリーの系譜を受け継ぎながら、それぞれのモデルを型から起こして、丁寧に製作しています。
もともとは登山用のブーツづくりからスタートしたブランドで、僕自身もフットウェアからこのブランドの存在を知りました。
ブーツの製作を続ける中で、常に時代のトレンドを先読みしデザインを洗練していった結果、現在のスニーカーデザインにつながり、今の地位を確立している印象です。
カラーパレットや素材使いにヨーロッパらしい上品さがあって、色の差し方にも独特な精神性を感じます。履き心地ももちろん抜群。そのバランス感覚は、COVERCHORDのスタイルとも非常に親和性が高いと感じています。
シューズという軸を持ちながら、時代に合わせて柔軟に変化していく。
そんな進化の仕方がとても上手なブランドですし、これからの展開も本当に楽しみです。
ROA
SATISFY
〈SATISFY〉は、2015年にパリで誕生したランニングウェアブランド。
ファウンダーの Brice Partouche 自身もランナーであり、“ランニングは自己表現であり、身体と心の旅である”という理念のもと、機能性とファッション性を融合したプロダクトを制作している。
速乾性・通気性に優れた軽量で高機能なテクニカルファブリックを採用し、縫製やポケットの配置など細部に至るまで、快適な走りを支えるデザインを追求。
都市型ランナーやクリエイティブ層など、時代に敏感な人々から高い支持を得ています。
Instagram_@satisfyrunning
COVERCHORD
BUYER’S VOICE
〈SATISFY〉は、フランス・パリを拠点に活動するランニングウェアブランドです。
「ランニングウェア × ストリート」という掛け合わせをいち早く打ち出し、機能性とファッションの境界を軽やかに飛び越えてきた存在だと思います。
なかでも面白いのは、古着Tシャツのように“穴の空いた”アイテムをベンチレーションとしてデザインに取り入れている点。
一見するとラフなのに、実は人体の発汗ポイントを計算して通気性を確保していたりと、見た目のインパクトと実用性がしっかり両立しているんです。
単なる奇抜さではなく、機能性に裏打ちされた美しさがある。そこがこのブランドの真骨頂だと思います。
ビジュアルの作り込みも非常に巧みで、世界観づくりがとにかくうまい。
実際に僕自身もランニングする時に着ていますが、普段使いとしても違和感がないデザインなので、“両A面”のような魅力があるんです。
SATISFY
_J.L-A.L_
〈_J.L-A.L_（ジェイラル）〉は、イギリス人のデザイナー Jean-Luc Ambridge（ジャン=リュック・アンブリッジ）が手掛けるテクニカルウェアブランド。
〈Goldwin 0〉にデザイナーとして参加した経歴を持ち、ミリタリーやワークウェアの機能美に、最先端の素材や着脱可能な構造などを組み合わせた、革新的かつ実用的なデザインが特長だ。
また、自然が生み出す快適性や機能美にも着目し、シンプルな構造に内包される可能性を追求。
デジタルツールを活用した迅速な反復と即時性のあるプロセスを通じて、常に変化し続けるフォルムと新たなスタイルを生み出し続けている。
Instagram_@_j.l_a.l_
COVERCHORD
BUYER’S VOICE
〈_J.L-A.L_〉は、「ゴープコア」から派生した流れの中で、独特な存在感を放つブランドです。
アウトドア的な機能性を持ちながら、モードなショップやカジュアルなセレクトにも自然に溶け込む。その“どこにも属しきらない”バランス感覚が魅力です。
デザイナーズブランドらしい構築的な印象が強く、COVERCHORDがセレクトするのは少し意外に映るかもしれませんが、あえてシンプルな着こなしの中で楽しんでもらいたい。そんな思いから提案しています。
例えば「SINH SHELL JACKET」。ジッパーを二重構造にしていながら、着ると驚くほどミニマルな印象にまとまるなど、大胆さと繊細さの両立が見事です。 各国のショップから引き合いが多いのも納得の完成度です。
パリの展示会で実際に拝見した際も、カッティングや素材の選び方に強いこだわりを感じさせ、サウンド面での世界観づくりも非常に秀逸。
全体から“表現”への情熱を、ひしひしと感じるブランドです。
_J.L-A.L_
HYKE
吉原秀明と大出由紀子の二人がデザイナーを務めるファッションブランド〈HYKE（ハイク）〉。
1998年に立ち上げた〈green〉が前身となり、その後、2013年秋冬コレクションよりブランド名を〈HYKE〉に変更。
“HERITAGE AND EVOLUTIONー 服の歴史と伝統を独自の感性とビジョンで進化させる”をコンセプトに掲げ、ブランド開始当初からシーズンごとのテーマを設けず、既存のアイテムや古着、ミリタリーウエアからインスパイアされたデザインをベースに、普遍的なアイテムを現代的な解釈で再構築している。
Instagram_@hyke_official
COVERCHORD
BUYER’S VOICE
〈HYKE〉は、個人的にもとても思い入れのあるブランドです。
デザイナーの吉原秀明さんと大出由紀子さんが、かつて手掛けていた〈green〉というブランドをリアルタイムで見ていました。
裏原全盛期、とにかくロゴもの一辺倒だったそんな中で、ロゴを排しベーシックを軸にしながら、捻りを加えたデザインを打ち出していた。あの頃からすでに、他とは違う感性を持っているお二人だなと感じていました。
育児や出産を機にいったんブランドを休止した潔さ、自分たちでお店を持たないというスタンス。そうした“人間らしさ”や“誠実さ”がものづくりの根底にあるのが、お二人の魅力だと思います。
〈HYKE〉になってからも、その姿勢は変わらず。ベーシックな中にひと捻りがある。
定番アイテムでも、どこか構築的でモダンに仕上げてくる。
大味なコラボレーションはせず、意味のあるものづくりを追求する姿勢にも共感します。
お子さん二人のイニシャルを合わせてつけられたブランド名にも、温かみと芯の強さが感じられる。
シンプルで、モダンで、ベーシック。その絶妙なバランス感覚が、今見てもやっぱり抜群にセンスが良いです。
時流をしっかり捉えつつも、自分たちのペースで進化している。そんな姿勢も含めて、ずっと尊敬しているブランドです。
HYKE
nante
東京発のユニセックスブランド〈nante（ナンテ）〉。
ブランドコンセプトに、
ー大切なのは “何を着ているか” ではなく“それを着て何をするか” ということ。
ー日々の営みの邪魔をせず、様々な生活に寄り添える服であること。
ー着る人自身に光を当て、それぞれの個性を際立たせる服であること。
を掲げる。
気付けば毎日手に取ってしまうような、生活そのものを楽しむための上質な日常着をリリースしている。
Instagram_@nante_tokyo
COVERCHORD
BUYER’S VOICE
〈nante〉は、COVERCHORDでしか手に入らないブランドです。
一見シンプルなんですが、“ありそうでない”アイテムをしっかり形にしてくる。
定番の仕様を模倣せず、見た目以上に機能的。人間の動きを前提にした、かゆいところに手が届くようなデザインやシルエットを提案しているのが魅力です。
「スタンダード」。この言葉自体はいまや世の中で広く使われるようになりました。ですが、流行りとしてではなく、しっかり軸を持って“自分たちなりのスタンダード”を明確に表現する〈nante〉の姿勢は、COVERCHORDとも通じる部分があり、強く共感しています。
また、“遊び心”や“余白”を大切にしているところも好印象。
インスタグラムでの発信もそうですが、血の通った言葉や感情を大切にしている姿勢が伝わってきます。
そうした人間らしい部分も含めて、熱を持って紹介したいブランドです。
nante
EUCHRONIA
デザイナーの佐藤桃香と宮崎風による、クリエイターユニット兼、ファッションブランドの〈EUCHRONIA（ユークロニア）〉。
オリジナルのレースを使った洋服を発表している。人々の記憶を糸に紡いでレースとして形にすることで、思い出を呼び覚ます存在でありたいと考えている。
ブランド名の〈EUCHRONIA〉は「時間のない国」を意味し、「大切な記憶はいつも私たちに時間を思い出させ、その瞬間を永遠に留めてくれる。そんな体験をすべての人に届けたい」という願いが込められている。
Instagram_@euchronia_official
COVERCHORD
BUYER’S VOICE
元々はオーダーメイドを受けて人それぞれの魅力を引き立てる服づくりをしていたのが印象的で、まさに“人を立てるためのブランド”という感じ。
2025年春夏シーズンからセレクトショップでの販売をスタートした、世間的にもまだ新しい存在です。
私も昔からレース素材が好きで、出逢った瞬間一目惚れに近い感覚がありました。
このブランドのすごいところは、レースを“甘すぎず、それでいて大人の女性らしく”仕上げている点。 繊細さがありながらも、日常に取り入れやすい。
「STRETCH LACE LONG SLEEVE TEE」を実際に着ていますが、本当に軽やかで着心地が良く、レイヤードにも使いやすいアイテムです。
デザイナーはとても仲の良い二人組で、 旅行で訪れたヴェネツィアのラグーンにあるブラーノ島、通称“レースの島”がブランドの原点になっているそうです。
自分たちの「好き」をとことん追求しながらブランドを続けている姿勢がとても素敵です。
ブランドのタグラインは、“with love that never falters（決して揺るがない愛を込めて）”という言葉。
鈴蘭の花をモチーフにした下げ札も印象的で、細部にまで愛情が込められているのが伝わります。
誰もが手に取りやすく、それでいて自分らしさを感じられる。 そんな温かみのあるブランドです。
EUCHRONIA
TOURNON.
〈TOURNON.（トゥルノン）〉は、2024年に谷口りさが立ち上げたレディースブランド。
大手セレクトショップでの、バイヤー、MD、ディレクターの経験を活かし、パターン設計から素材開発にまで関わり、クラシックで妥協のないものづくりを追求している。
ブランド名は、パリ 6 区サン＝ジェルマン＝デ＝プレ地区から、リュクサンブール公園へまっすぐに伸びるトゥルノン通り（Rue de Tournonに）由来。
“少し特別な普段着”をコンセプトに、 “凛として、明るく、自然体に滲む女性らしさ” を感じさせる、新しい日常着を提案している。
日常にすっと馴染みながら、ほんの少し高揚を感じるような服を、一着ずつ丁寧に仕立てている。
Instagram_@tournon.official
COVERCHORD
BUYER’S VOICE
〈TOURNON.〉は、立ち上がったばかりの新しいブランド。
これまでにない世界観とカラー使いが印象的で、初めて展示会で見たときに新鮮な感覚がありました。
デザイナーの谷口さんは、長年デザインの仕事に携わってこられた経験豊富な方で、フレンチスタイルを得意としています。
ご自身の好きなテイストをしっかりとコレクションに落とし込み、トレンドに左右されない普遍的な魅力を持つ服づくりをされています。
色使いやデザインが目を引きつつも、日常に馴染み、末永くつき合えるアイテムばかりです。
生地へのこだわりが徹底されていて、決してお手頃な価格ではありませんが、素材の良さ、クオリティの高さを考えれば納得の設定です。
上質でありながらも、日常に自然と取り入れられる。そんな現代的なバランスを持ったブランドだと思います。
TOURNON.
pillings
デザイナーの村上亮太と、母である村上千明が共同で2014年に始めたハンドニットブランド。
2020年にブランド名を〈pillings〉へと改名し、新たな活動を開始した。
「ものづくりの愛おしさと、その背景を創造性を持って伝えていくこと」をコンセプトに掲げ、日本の手編み職人と共にハンドニットを中心としたコレクションを発表している。
ブランド名は、毛玉を意味する「pilling （ピリング）」 に複数形の「s」を付けた「毛玉たち」という意。
毛玉のような関係性から生まれた、愛おしさや環境そのものをデザインしていきたいという思いが込められている。
近年では、若手ファッションデザイナーの育成・支援を目的とした「LVMHプライズ」のセミファイナリストにも選出され、気鋭のニットブランドとして国内外から注目を集めている。
Instagram_@pillings_
COVERCHORD
BUYER’S VOICE
デザイナーの村上亮太さんには、幼い頃お母さまが編んでくれた子供服の思い出がルーツにあって、そんな原体験から手仕事の温かみを大事にしたニットが生まれています。
初めて拝見したとき、そのデザイン性の高さに感銘を受け、実際に手に取り仕立ての良さを確信し、決意も固くお取り扱いを始めることになりました。
特にブランド定番である「縮絨シリーズ」は、縮率の差で表地から裏地が自然に表れる仕組みになっています。
縮率まで細やかに計算されていて、偶然ではなく緻密に作られているのがすごいのです。
さらに、編み手の名前が刻まれたタグが付いていて、服づくりへの誠実さが伝わってきます。
COVERCHORDのスタイルにも取り入れやすく、モードに着たい人にも、カジュアルダウンしたい人にもおすすめです。
今回私は「FULLING VEST」を購入。過度な装飾がないのでレイヤードもしやすく、ジャケットの上から重ねて着ることもできます。
日常に高揚感を呼び込むデザイン性を持ちつつ、手仕事の温かみを感じられる、そんなブランドです。
