COVERCHORD FEATURE
nonnative × UNDERCOVER
OZISM
2024 SS COLLECTION vol.2
「OZISM」のネーミング由来となった小津安二郎がレーベルに与えた影響や、
現在の展望について、UNDERCOVERデザイナー、高橋盾の証言をまとめる。
2nd DELIVERY
4月20日 (土)発売
〈UNDERCOVER(アンダーカバー)〉を手がける高橋盾と、〈nonnative(ノンネイティブ)〉のデザイナー・藤井隆行によって、2022年末に突如発表された「OZISM(オジズム)」というレーベル。
ファッションの世界に長らく身を置いてきた両者が従事する、いわゆるブランドやコレクションとは隔てたものづくりの起こりと、草木染めや和紙といった技法・素材を採用した今春のアイテム群について、全3回にわたって考察してゆく。
文:今野 壘
編集者。
1987年生まれ。ファッション分野を中心に活動中。
THEMATIC REPORT
#2 OZISM
既存のコレクション発表やファッションビジネスの定石から外れたレーベル、「OZISM(オジズム)」の全容を解く、全4回のレポートシリーズ。
第2回では、その特徴的なネーミングの由来になった映画監督・小津安二郎がこのレーベルに与えた影響や現在の展望について、UNDERCOVER(アンダーカバー)のデザイナー、高橋盾の証言をまとめる。
小津映画の原体験
高橋が初めて触れた小津作品は『東京物語』で、自身が二十歳頃のこと。アンダーカバーの設立ともほぼ同時期ということになる。
「それまで観ていた黒澤明や溝口健二のようなエンターテインメント性のあるものに比べるとすごく静かな映画だし、何か残るものはあったけれど、初めはあまりしっくり来なかった。それが40歳を過ぎて観直すと、自分も家族を持って子供のことを考えたりするようになっていて、小津映画の家族の距離感がリアルに感じられるようになっていました。小津作品は世界で評価されているけれど、家族や絆というのが万国共通で通じるテーマだからなのかなと」。
オジズムの小津イズム
作品だけでなく、その発言も取り沙汰されることが多い小津安二郎だが、語録に特段の関心は無いと高橋は言う。
「自分は言葉の人間ではないから、反応するのはそこじゃないのかも。それよりも彼の生き方や、ものづくりといった観点ですごく共感できました。ただ、“芸術のことは自分に従う”という言葉については、クリエイターはやっぱりそこだよなとうなずかされます。曲げられない芯があって、あとは執着せずに受け流していくっていうことが、年を取るほどに重要になっているなという実感があります」。
『東京物語』1953年 監督:小津安二郎 ©松竹株式会社
オジズムのTシャツ
小津の精神性に倣うこともあれば、一方で直接的にフォーカスするものもある。プリントTシャツは後者の典型で、今春は『東京物語』と『お早よう』の2作品がそれぞれフィーチャーされている。
「改めて『東京物語』は素晴らしい映画だと思いますが、中でもこのシーンはすごく良い。実はもうひとつは『浮草』が良かったんです。小津安二郎の映画の中ではかなりエンターテインメント性が強いと思うから。でも、絵的なハマりを考えて『お早よう』を選びました。カラーだし、小津作品では珍しい喜劇なので。この兄弟の姿も絵として好きです。自分では見えないくらいがちょうど良いなと思い、バックプリントにしています」。
『お早よう』1959年 監督:小津安二郎 ©松竹株式会社
ものづくりの方法論
オジズムと、高橋が30年以上続けてきたアンダーカバーとではプロダクトを生み出すための考え方や手法が大きく異なる。
「ファッション業界にはどうしてもスピードが必要。アンダーカバーもメンズ・レディス、パリでの発表も入れたら展示会だけで年に8回、ショーが2回というタームでやっていると、どうしてもひとつひとつのプロダクトに注ぎ込む熱量をある程度分散させないと進まない。でも、ひとつのものをずっと掘り下げて研究してものをつくっている人たちにはずっとコンプレックスがあった。憧れとも言えると思います。同じ服を生活の中で実際に着回しながらシルエットを少しずつ変え、生地を変えて……というアップデートはアンダーカバーではできないやり方。でも、オジズムはそれでいい。それが楽しい」。
自由な暮らしのための服
オジズムの服はファッションというよりは、より道具に近いもの。実験と改良とを繰り返し、それをマイペースに続けていくというのが高橋と藤井のここでの姿勢だ。そのため、今後も多くのしがらみとは意識的に距離を置き、気の向くままにものづくりを続けてゆく。
「オジズムだけで食べていこうとしたら、好きな時につくって……というやり方は難しいかもしれない。でも、僕も藤井も本職というか、それぞれのブランドがある。自分たちが最小限必要な服だけをつくって、それをアップデートしていければ良いと思っています。無理やりつくる必要も無いし、飽きたらやめればいい。チャイナジャケットを好んだ伊丹十三のように、いつも同じような服を着ている人は格好いいと思うし、自分もそうなりたい。自由な生き方、自由な暮らしを求める人の役に立ちたい。楽に着られるものを楽につくるというのが理に適っていると思うし、それがオジズムだと思います」
1月1日 (月)発売
1月1日 (月)発売
1月1日 (月)発売
nonnative × UNDERCOVER
OZISM
2024 SPRING - SUMMER COLLECTION
2nd DELIVERY
約2年前、日本発のブランド同士のコラボレーション実現にあたり、掲げられたテーマは「OZISM」。
映画監督、小津安二郎から着想を得たこのワーディングには、日本の美学や歴史、背景を見つめ直すことに共通点を見出し、-Portraits of Modern Japanese- をタグラインとした両デザイナーの、小津への共感や敬意が込められている。2024春夏シーズンは、素材に「和紙」を取り入れたウェアを中心とした構成。インスピレーションソースだけでなく、素材にも日本ならではの発想や美意識が活きている。
4月20日 (土)のセカンドデリバリーでは、小津安二郎監督作品『お早よう』と『東京物語』のワンシーンを冠したプリントTがリリース。
これらのプロダクトはオジズムのクリエイションを通して、小津安二郎氏の作品、および「湘南遊映坐」の活動を広く周知するという意図が込められたもの。
なお、このTシャツの収益は「湘南遊映坐」の活動に充てられ、小津安二郎監督作品だけにとどまらず、映画、芸術の普及と発展をサポートする。
「作務」からの連想で「MONK(修道僧)」と名付けられたシリーズからは、フルジップフーディとグラミチのイージーショーツを。
加えて、小津安二郎氏が愛したメトロハットから着想を得たハットとキャップ、足袋ソックスが並ぶ。
ayame
POP-UP STORE
at COVERCHORD Online
4月20日 (土)発売
OZISM
SS TEE - 1
小津安二郎監督作品『お早よう』の、劇中のワンシーンを背面にプリントしたショートスリーブTシャツ。フロントには「NU」刺繍のワンポイント。
『お早よう』1959年 監督:小津安二郎 ©松竹株式会社
Price_¥13,000
Color_WHITE, NAVY, BLACK
OZISM
SS TEE - 2
小津安二郎監督作品『東京物語』の、劇中のワンシーンを背面にプリントしたショートスリーブTシャツ。フロントには「NU」刺繍のワンポイント。
『東京物語』1953年 監督:小津安二郎 ©松竹株式会社
Price_¥13,000
Color_WHITE, NAVY, BLACK
MONK FULL ZIP HOODY
COTTON PAPER SWEAT OVERDYED
ノンネイティブの「DWELLER FULL ZIP HOODY」をベースに、和紙を織り交ぜた素材や「OZISM」のネーム、アンダーカバーのジッパーを用いてアップデート。
Price_¥37,800
Color_BROWN, CHARCOAL
WALKER EASY SHORTS
COTTON PAPER VIERA OVERDYED
by GRAMICCI
1タック仕様でややリラックスしたシルエットのグラミチ製イージーショーツ。
コットン/和紙混紡素材の軽やかな質感。
Price_¥36,800
Color_NATURAL, BROWN, CHARCOAL
MONK METRO HAT
COTTON PAPER VIERA OVERDYED
小津安二郎氏が愛した「メトロハット」を、オジズム仕様にデザインしたハット。
ウェア同様の素材を用いており、柔らかな質感が特徴。刺繍ネームを配した特別仕様。
Price_¥18,800
Color_NATURAL, BROWN, CHARCOAL
MONK JET CAP
COTTON PAPER VIERA OVERDYED
やはりウェア同様の柔らかな素材を用いたジェットキャップ。
フロントに「NU」刺繍を配した特別仕様。
Price_¥15,800
Color_NATURAL, BROWN, CHARCOAL
MONK TABI SOCKS
POLY PAPER WOVEN
足袋をモチーフにしたソックス。
ポリエステルに和紙を織り交ぜた、ドライな質感で通気性を高めた素材。
Price_¥3,800
Color_NATURAL, BROWN, CHARCOAL