コンテンツに進む

特集記事

COVERCHORD FEATURE

JUN MIKAMI
AW2022 COLLECTION
三上純 インタヴュー

ハンドニットの製作からスタートしたブランド〈JUN MIKAMI〉。
デザイナー三上氏へのインタヴューと、最新コレクションでブランドを掘り下げる。

INTERVIEW with
Jun Mikami

2012年のスタート以来、多くの熱狂的ファンに愛されているレディースウェアブランド〈JUN MIKAMI〉。デザイナー三上純氏による手編みニットの解説書が出版されるなど、ハンドニットに特化したブランドとして知られている。

私服の着こなしやライフスタイルが各所で取り上げられ、とにかくセンスが抜群と噂される三上氏。そのセンスやアイデアは一体どこから生まれるのだろう?自身とブランドのルーツのほか、ライフスタイルや、スニーカーの話まで。〈JUN MIKAMI〉と「三上純」をもっと知れる、特別なインタヴュー。

─ファッションの世界を志し、文化服装学園に入学を決めたきっかけは何ですか?また、なぜテキスタイルを学ぼうと思ったのですか? 


実は、文化(服装学園)は半年で辞めてしまっていて……テキスタイルはその後に、大塚テキスタイルデザイン専門学校で3年間勉強しました。洋服も好きでしたが、子供の頃から絵を描くのが好きだったので(上手くはないです)テキスタイルならば、洋服と絵の間を取れるというか、いいとこ取りが出来るのではないかというような考えがありました。 


─〈JUN MIKAMI〉はハンドニットの製作からスタートしたブランドと存じます。ニットにはどんな思い入れがありますか? 


〈JUN MIKAMI〉を始めた当初は資金的なハードルの問題もあり、ハンドニットしか作れなかったというのが実際のところです。時間だけはたくさんありましたので、サンプルはもちろん自分で編みましたし、使用する糸も自宅で自分で染めたりもしていました(今思うと我ながら凄い……)。いい思い出です。この経験が自分を支えてくれているのは間違いないと思います。

現在では、毎シーズン必ずしもハンドニットが登場するとは限らなくなりましたが、ハンドニットに対する興味を失ったわけではなく、ただ、ちょっと時間が欲しいなというのが正直な気持ちです。どうしても製作に膨大な時間がかかってしまうので……。数年かけてじっくり取り組んで「これだ!」というものが出来たタイミングで皆さんにお見せ出来ればと思っています。 

オオカミのモチーフストール

ハンドニットのボディスーツの編み途中。

─AW2022コレクションでは、プリーツカラーやミニ丈などのデザインが印象的でした。これらのアイテムはどんなものから着想を得ましたか?また今コレクションのこだわりを教えて下さい。 


プリーツカラーのシャツは以前にも登場したことがあり、当時から気に入っていたアイテムでしたが、もう少しスッキリしたバージョンが欲しいなと思い、AW2022で再登場させてみました。

ミニに関しては、ここ数年は世間的にもロングレングス一辺倒であったこともあり、その反動もあってミニ丈の型をいくつか作りました。わたし自身も40をとうに超えていますので「ミニ、着ていいのかな?」と躊躇しなくもないのですが、その年齢には年齢なりの着方がきっとあると思うし、その模索自体が醍醐味だと考えるようにしています。


こだわった点でまだお話してない事としては、生地に関してかなと思います。ごく最近になってですが、少しずつオリジナルの生地を作れるようになり、それは自身にとっても、ブランドにとっても、大変大きな前進でした。同時にものを作る楽しさや喜びがまた帰って来たというか。それまでがつまらなかった訳ではないのですが(笑) 。

生地だけに限らず全てに言えることですが、協力して下さる専門職の方々とのやり取りの中で得るものは非常に多いです。特に生地などは、こだわろうと思えば際限なくいけてしまう領域なので今後も貪欲に探求していきたいです。


 ─普段はご自宅でお仕事されることが多いとのことですが、ON/OFFはどのように切り替えますか?

あまり切り替えてないかもしれないです。デスクワークするかたわらで夕ご飯を煮込んでいたり(笑) 。
仕事の気分転換が家事で、家事の気分転換が仕事みたいな感じで過ごしています。 

「リビング」
普段仕事をしているテーブル。

「台所」
朝は小窓からいい光が入る。

「屋上」
広いルーフバルコニー。
コロナで外出が極端に制限されていた時期は、
この場所があることがとても有難かったそう。

─Instagramでステラ・テナントの大ファンだったとおっしゃっていましたが、他にもインスピレーションを受けた人はいますか?


ステラと同じく1990年代に活躍していたモデルで、Anna Kという人がいるのですが、彼女がしていた、メンズパンツを腰履きして足元はニューバランスというスタイルが大好きで、かなり影響を濃く受けたと思います。 

─ヘアスタイルのバランスや小物遣い、スニーカー選びのセンスなど、日々のスタイリングがとても素敵です。どんな服や、着こなしが好きですか?


メンズっぽいパンツにスニーカーというスタイルが結局は一番好きです。服の着方は基本的にはそこから大きく変化することは今後もないのかなとは思っています。

一方でスニーカーに関しては、流行りや気分の変化で選ぶものがコロッと変わります。持論ですが、スニーカーにはその時代の最先端のテクノロジーが凝縮されていると思っていて。履くことでそれを体験できるんだとしたら手を出さずにはいられない!みたいな気持ちにさせられてしまいます。

左上から時計回りに。
①MIZUNO「2年ほど前に購入して以来かなりの頻度で履いていた一足。日本のメーカーに目を向けるようになったきっかけの一足です」

②New Balance「つい数日前に購入したばかりです。New Balanceは久しく履いていなかったのですが、インスタで見掛けて気になってお店へ。ソールのデザインがお気に入りです」

③NIKE「太っ腹な友人が『二足持ってるから一つあげる』と譲ってくれたエアジョーダン。1996年製の貴重なもののようですが、気に入っているので普通に履いてしまっています」

④,⑤ASICS「一時期ギラギラブームが起きていた際に連続購入しました。アシックスは今一番好きなメーカーです」



─公私ともに、今後挑戦したいことを教えて下さい。

仕事で挑戦してみたいことはいろいろあるのですが、その中でも特に興味があるのが下着のデザインです。 〈JUN MIKAMI〉でも何度かトライしたことはあるのですが、縫製などの専門性が高く、本格的なものを作るまでには至れずでした。いつになるかは分かりませんが、機会をみてまた再チャレンジしてみたいと思っています。プライベートでチャレンジしたいことは特にないです。ルーティーンが好きなので毎日が同じ繰り返しでも問題なく幸せでいられるタイプの人間です。 

三上純 (みかみ・じゅん)
文化服装学院を経て、大塚テキスタイルデザイン専門学校を修了後、アパレルメーカーにてデザイナーを経験。その後、フリーランスとして他社ブランドへデザイン提供を行うと共に、糸の染色からデザイン、ニット製作に渡る幅広い知識を活かし、ハンドニットのセミオーダー受注を開始する。2012年SSシーズンより〈JUN MIKAMI〉を始動。

Website_junmikami.com
Instagram_jun_mikami_official

JUN MIKAMI
AW2022 COLLECTION

「年齢によっての着方を模索するのがファッションの醍醐味」「ものづくりの楽しさや喜びを再認識した」三上氏のファッションや、ものづくりへの想いが詰まった〈JUN MIKAMI〉AW2022コレクション。

「衣食住旅」を愉しむCOVERCHORDでは、「日常」をテーマに独自のスタイリングをご提案。リラックスした生活に溶け込みつつも、ちょっとした遊び心とドキドキも大切に。

〈JUN MIKAMI〉を纏って、さてどこへ出かけようか。

Hair & Make_Moeka Kanehara
Special Thanks_Mr.Clean
Location_法曹会館

x