カバーコードの逸品
長く愛せる一生ものの「逸品」をご紹介。
nonnative × ecco
EXOHIKE WITH GORE-TEX
ダンスミュージックに傾倒した二十代、幾多のスターの一人にHans-Peter Lindstrøm (リンドストローム)がいました。表層にはイタロディスコあたりのキッュさを漂わせながら、太いボトムと洗練された音・フレーズのバランス感がとても好きでした。見慣れないスペルと名前のアーティストの出身地は北欧(Lindstrømはノルウェー)でした。音の端々に垣間見せるフォークロア的趣向とともに、”なるほど、これがスカンジナビアンのセンスか”なんて知ったかぶったりして。
なぜそんな話を長々と、、といいますと、この靴を見た時に感じた印象がLindstrømを思い出させたから。スカンジナビアの一国、デンマーク発祥のフットウェア・レザーブランドである〈ECCO(エコー)〉と〈nonative〉が初の共作を実現しました。
〈ECCO〉の歴史は古く、創業者のKarl Toosbuy(カール・ツースビー)によってシューズメーカーとして産声を上げました。〈ECCO〉が特に拘ったのが製品に使用する皮革素材。1985年に自社タナリーを設立し、なめしから仕上げまでをコントロールすることによって、条件を満たす優れた皮革素材を使用することを実現しています。
コラボレーションモデルとして選ばれたのはハイカットのハイキングモデル「EXO HIKE(イクソハイク)」。運動性と足の保護を両立させる現代的なデザインを持つ一方、ナイロンと天然皮革のコンビネーションや金属製のD環は往年のハイキングシューズを連想させます。この辺りのセンスと言いますか重きの置き方って、効率化・進化を止めないアメリカンブランドと、アルピニズム発祥のヨーロッパの対比のようでいて興味深いですね。
〈nonative〉のフットウェアに多用されるGORE-TEX®、今作でも勿論搭載しています。急な天候の変化をいちいち気にしていたくないし、日常の延長で気負いなくフィールドにも足を伸ばす私たちにとって、もはや”靴”と”防水性”は標準装備。
アウトソールにはタイヤメーカーのMICHELIN(ミシュラン)社のロゴ。タイヤメーカーならではなオリジナルコンパウンドが提供するグリップ力は凄まじくて、特に濡れた岩上や舗装路での安心感はちょっと驚きます。往年のクロカン車っぽいラグパターンも最高です。
足裏のカーブをトレースする「FLUIDFORM™」テクノロジーによる人間工学的な立体成型ミッドソール。更には印象的なヒールカップの形状に、スカンジナビアンデザインをビシビシ感じます。
先に述べたデザイン、マテリアル、この靴の持つエレメントを一層際立たせるのは、コントラストを落とした淡いワントーンのカラーリング。何よりもこのコラボレーションを表す〈nonative〉のカラーパレットです。汚れも濡れも全てムードに昇華し、何歳になっても履いていられる靴になるはず。
現在進行形のプロダクトでありながら、往年のアルパインブーツのオーセンティックさも漂わせ、再構築する。Lindstrømの音楽を聴いた時に得られる感覚とこの靴から発するムードには、共通するものがあるように思います。